仕込みの条件図鑑 | オトモドリンク&イーツ

塩分は、腐敗菌や食中毒菌を止めて、耐塩性のある乳酸菌や酵母や麹菌だけを残す条件です。

塩分
写真: Poyraz 72 / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

効く理由

塩は味付けではなく、育てたい菌を選ぶ条件です。発酵漬物では、塩が野菜から水分と糖を引き出して発酵する菌の栄養にし、腐敗菌やカビ、有害な菌より発酵する菌を有利にする役目を果たします(バージニア工科大学の解説資料)。米味噌の仕込みでは、耐塩性の酵母と乳酸菌が使われます(Kusumoto らのレビュー・2021)。

目安

味噌の塩分は5〜13%と幅があり、ふつうは11〜13%です(Kusumoto ら)。麦味噌は淡色で9〜11%、赤系で10〜12%。野菜の発酵では、ザワークラウトが2.25〜2.5%、低塩のピクルスが3〜5%、高塩のピクルスが5〜16%です(バージニア工科大学の資料)。日本の衛生規範(製造施設向けの通知)は、保存性のある漬物の条件に塩分4%以上などを挙げます。

外れたときの症状

塩が少ないと、カビなどの汚染菌が増え、食感が軟らかく風味の悪い仕上がりになることがあります(バージニア工科大学の資料)。Eilers らの野菜の発酵実験でも、塩が少ないと乳酸菌が優勢になるのが遅れました。東京都は、腸管出血性大腸菌が塩分4%でも増えるため、塩分が低い漬物は低温で保存し、早めに食べ切るよう書いています。多すぎると耐塩性の発酵菌の一部しか育たず、発酵が遅れます。

解説動画

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塩辛くなったぬか漬けを呼び塩で戻す手順

塩辛く、酸っぱくなったとき

ぬか床の塩分が高かったり、忙しくて漬ける期間が延びてしまったりして、漬物が塩辛く酸っぱくなったときの立て直し方を漬物店が実演している。失敗しても捨てずに塩を抜けばまだ食べられるという立場で、1週間漬けた白菜を例に、洗うところから進めている。

呼び塩のやり方

容器はボウルでも何でもよく、水を張ってひとつまみ、濃度でいえば1%ほどの塩を溶かしてから漬物を入れる。これを呼び塩と呼び、真水だと浸透圧の関係で身が水っぽくなり、甘みまで抜けてしまうので薄い塩水を使うと説明している。10〜20分浸けて味を見て、まだ塩辛ければ同じ塩水でもう10分ずつ延ばす。

それでも塩辛いとき

1週間以上漬け込んだものは塩抜きだけでは足りないことがあり、その場合は細かく刻む。刻むと苦みや酸味が和らぎ、食感も変わるので、子どもでも食べやすくなるという。実演では刻んだ白菜を食べて、普通の白菜漬けに戻ったと評している。それでも強ければマヨネーズやごまと和える、ご飯にのせてほうじ茶をかけ茶漬けにするなど、他の食材と混ぜて食べ切る。

出典: ぬか床TVチャンネル-伊勢屋漬物店-(YouTube)で動画を見る ▶

出典

  1. 公的機関・英語 Eifert JA, Boyer RR, Williams RC (Virginia Tech)(2025) Vegetable Fermentation
  2. 論文・英語 Kusumoto KI, Yamagata Y, Tazawa R, Kitagawa M, Kato T, Isobe K, Kashiwagi Y(2021) Japanese Traditional Miso and Koji Making
  3. 論文・英語 Eilers T, Van Rillaer T, Wittouck S, Tuyaerts I, Michiels K, Victor M, Gehrmann T, Bron PA, Van Beeck W, Lebeer S(2026) From diversity to dominance: how salt and CO2 shape LAB-dominated ecosystems in vegetable fermentations
  4. 公的機関 東京都保健医療局 自家製の漬物をつくるときに気を付けることはありますか?【食品安全FAQ】
  5. 公的機関 厚生労働省(1981) 漬物の衛生規範(環食第214号)

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