攻略 | オトモドリンク&イーツ

発酵を進めすぎない置き方と、食べ切る目安。

できあがったものを常温に置き続けると、発酵はそのまま進みます。冷蔵庫へ移す目的は、発酵を止めることではなく、進む速さを落として好みの状態を長く保つことです。白菜キムチを4℃と15℃で比べた実験では、15℃の側が3日でpH4.0〜4.5の適正な範囲に入り、4℃で長く置いた側は過発酵の段階で乳酸菌数と総ポリフェノール量が下がりました(Kimら、2025年)。低い温度でも発酵は続くので、冷蔵は食べ切るまでの時間を伸ばす手にすぎません。国内では、保存性の乏しい漬物を製造後すみやかに10℃以下で保存するよう置かれています(厚生労働省の漬物の衛生規範。製造施設向けの指針で、家庭の数字ではありません)。

保存へ切り替える合図は、気泡が止まることです。発酵中はガスを逃がすためにさらし・ふきんやゆるいふたで覆いますが、発酵が終わったらふたを締めて冷蔵庫へ移します。完全に発酵したザワークラウト(乳酸キャベツ)は、しっかりふたをして冷蔵で数か月もちます(米国の家庭食品保存センター)。発酵ピクルスは元の容器のまま冷蔵で約4〜6か月とされ、浮いたスカムやカビは置いている間も定期的に取り除きます(ペンシルベニア州立大学の普及機関)。移す前に、瓶の縁と内側を清潔な紙で漬け汁の高さまで拭き取ります。金属のふたは汁が付くと錆びるので、プラスチックのふたに替えます(米国のホームステッドのチャンネル Whole-Fed Homestead)。

さらし・ふきん写真: Veganbaking.net from USA / CC BY-SA 2.0

保存中も、材料は漬け汁の下に沈めておきます(イリノイ大学の普及機関)。汁が足りないときの足し方は、資料によって違います。煮沸して冷ました塩水(水1クォート=約0.95Lに塩大さじ1と1/2)を足す手順が、米国の家庭食品保存センターとペンシルベニア州立大学の資料に載っています。一方、同じホームステッドのチャンネルは、塩水を足すと色が茶色くなるとして、発酵の初めにあふれた自家の漬け汁を取っておいて使っています。経験からの話で、測った裏づけはありません。冷蔵庫へ移した直後の数日は液面が下がりやすいので、入れてすぐに一度確かめます。取り出すときは、清潔な箸やスプーンを使います。使いかけの箸を容器に戻さないでください。容器の縁や押し蓋は、食品用アルコールスプレーで拭いてから戻します。

食品用アルコールスプレー図: オトモシリーズ

食べ切る目安は、仕込んだものによって大きく違います。キムチは冷蔵して1週間以内に食べるのが最良とされ、発酵が長くなるほど品質が落ちます(オレゴン州立大学の普及機関)。冷凍も使えて、瓶の上に1/2インチ(約13mm)の空きを残し、1日に凍らせる量は冷凍庫1立方フィートあたり約0.9kgまでにします(ペンシルベニア州立大学の普及機関)。常温のままで何か月も置く方法は、長期保存とは別です。冷蔵しない場合はきゅうりが約2か月、にんじんやビーツが6〜7か月もち、きゅうりは2か月を過ぎたら冷蔵へ移すという話が、米国のホームステッドのチャンネル(Country Living Experience)にあります。経験からの目安で、測った数字ではありません。

キムチ
キムチ写真: Nagyman, a flickr user / CC BY-SA 2.0

冷蔵しても発酵は続くため、容器がふくらむ・ガスが出る・漬物がシュワシュワする・発泡する・吹きこぼれる・あふれるは保存中にも起きます。ときどきふたを開けてガスを抜き、容器は皿やバットの上に置きます。ふたを固く締め切ると、ガスの逃げ場がなくなって瓶が危険な状態になります(Country Living Experience)。酸味が強くなりすぎたものは、酸っぱくなりすぎたのとおり捨てる話ではなく、鍋や炒め物へ回せます。味噌では表面にたまり(味噌の上に出る液)が出ますが、取り分ければ調味料になります。表面のスカムやカビは、保存中も見つけたその場で取り除きます(ペンシルベニア州立大学の普及機関)。白い膜(産膜酵母)とカビの見分けは毛羽立ちで、細い毛が生えていればカビです(Country Living Experience)。ぬめりが出たものと、腐った匂いのするものは廃棄します。迷ったら捨てる、が保存の最後の一線です(イリノイ大学の普及機関)。

容器がふくらむ・ガスが出る
容器がふくらむ・ガスが出る図: オトモシリーズ
漬物がシュワシュワする・発泡する
漬物がシュワシュワする・発泡する写真: Zenyrgarden / CC BY-SA 4.0
吹きこぼれる・あふれる
吹きこぼれる・あふれる写真: Didiervberghe / CC BY 3.0
味噌
味噌写真: wilbanks from Shop of boiled beans, side dishes and miso, Adzumaya Food Shop in Nishiki Ichiba, Kyoto / CC BY-SA 2.0
たまり(味噌の上に出る液)
たまり(味噌の上に出る液)図: オトモシリーズ
白い膜(産膜酵母)
白い膜(産膜酵母)写真: Simon Mannweiler / CC BY-SA 4.0

出典

  1. 公的機関・英語 National Center for Home Food Preservation(University of Georgia) Sauerkraut
  2. 公的機関・英語 Hirneisen A, Zepp M, LaBorde L(Penn State Extension)(2023) Let's Preserve: Fermentation - Sauerkraut and Pickles
  3. 公的機関・英語 Oehler N(Oregon State University Extension)(2020) Kimchi basics
  4. 公的機関・英語 University of Illinois Extension Fermenting FAQ
  5. 公的機関 厚生労働省 漬物の衛生規範(昭和56年9月24日付け環食第214号)
  6. 論文・英語 Kim J, Park H, Moon B, Kim S(2025) Effect of Fermentation Conditions on Functional Quality of Napa Cabbage Kimchi
  7. 動画・英語 Whole-Fed Homestead PRESERVING a year’s worth of SAUERKRAUT (Don’t can it!)
  8. 動画・英語 Country Living Experience: A Homesteading Journey Lacto Ferment Vegetables! Old School Way Of Preserving Food