着火剤

焚き火・火器

着火剤は、火をおこす最初の数分を確実に稼ぐ助っ人。

どんな道具?

焚き付けが自力で燃え出すまでの数分間を、安定して支えてくれる燃料です。固形のブロック型とゼリー状のチューブ型が主流で、経験が浅いうちほど恩恵が大きい道具といえます。雨上がりで薪が少し湿っている日でも火が起こせます。ゼリー型の主成分は揮発性の高いメチルアルコールであることが多く、高槻市消防本部は空気中に気化したガスが拡散して爆発を起こすおそれがあると注意を呼びかけています。加えて炎が青白いため、晴天の昼間は燃えているかどうか見えにくいという弱点もあります。初めて使う人は覚えておくと安心です。

選び方

ブロック型は一個で5〜10分ほど燃えるものが多く、割って量を調整できるのが便利です。ゼリー型は着火が速い代わりに使う量の見極めが難しいので、最初の一箱はブロック型のほうが扱いやすいと思います。ガソリンや虫よけスプレーなど、着火剤以外の可燃物で代用するのは避けます。米国の単一施設の熱傷病棟が2012〜2016年に受け入れた15歳未満の子どもの熱傷を調べたPerinjelilらの研究(2020年)は、屋外の火遊びによる熱傷66人のうち7人(11%)が、携行缶のガソリンや虫よけスプレーなど着火剤ではない可燃物が原因だったと報告しています。

使い方のコツ

焚き火台の底に置き、その上に細い枝を空気が通るよう井桁や円錐に組むのがコツです。すでに燃えている炭や薪に着火剤を継ぎ足すのは絶対にやめてください。着火剤の主成分は揮発性の高いメチルアルコールで、わずかな残り火でも気化したガスに引火し急激に燃え広がるおそれがあります。NITE(製品評価技術基盤機構)は2024年、公園のバーベキューで残り火にゼリー状の着火剤を足したところ「ボン」という音とともに火が噴き上がり、2〜3m離れた人までやけどを負った事例を紹介しています。消費者庁の調査では、炭や薪でのバーベキュー経験者の3割超がこの危険な継ぎ足しをした経験があるといいます。

手入れ・注意

直射日光と高温を避けて保管し、ゼリー型は開封後に揮発するので口をしっかり閉じます。ブロック型は湿気を吸うと着きにくくなるため、袋のまま箱に入れておきます。夏場の車内に置きっぱなしにしないようにしてください。高槻市消防本部は、容器から出したら間を置かずにすぐ火をつけ、使う量は取扱説明書の範囲を守ることを呼びかけています。着火剤は子どもだけに扱わせず、保管も子どもの手が届かない場所を選ぶと安心です。こうした保管と扱いの小さな習慣が、思わぬやけどや火遊びの事故を防ぎます。

出典

  1. 公的機関 製品評価技術基盤機構(NITE)(2024) 製品安全情報マガジン Vol.457 7月23日号「夏に気を付けていただきたい製品事故3選」
  2. 公的機関 高槻市消防本部 ゼリー状(ジェル状)着火剤の使用方法は要注意!
  3. 論文・英語 Perinjelil V, Haake RS, Ahmed A, Al-Daoud F, Maraqa T, Mercer L, Wong K, Morris S, Scholten D, Sachwani-Daswani G(2021) A Single Center Review of the Dangers of Recreational Fires in the Pediatric Population

解説動画: ジェル状着火剤で炭に火をおこす手順/たけだバーベキューTV

概要: ジェル状の着火剤で炭に火を入れる手順を、着火剤を出す位置と炭の積み方を中心に実演している。順番さえ守れば団扇であおぐ必要もなく、15分から20分ほど待つだけで調理に使える炭火になるという内容。

置く順番が鉄則: 積み上げた炭の上からジェルをかけるのはよくある間違いで、それでは炭全体に火が回らない。まず土台になる炭を置き、その上にジェルを絞り出してから、積み木のように炭を高く積み上げていくのが鉄則。火床へ直接出すより炭に載せた方がよく燃え、下の炭にも火が移っていく。

着火と待ち時間: 炭を積むときは一箇所だけ空けておき、そこから長いライターで着火剤に火をつける。首の曲がるタイプのライターだと下向きにも火を入れられて扱いやすく、ランタンの点火にも使える。あとは15分から20分ほど待つと下から真っ赤に燃え、最後は白く落ち着いた状態になる。ここまで来れば火力が安定しているので、広げれば自然の風だけで調理に入れる。