ヤマザクラ

公園と庭の木

触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 春(3〜5月)

花と赤褐色の若葉が、同じ日に開きます。木ごとに花の色も咲く日もずれるのは、接ぎ木ではなく種から育った木が多いためです。

ひと目の手がかり

花と若葉が同時に開き、その若葉が赤褐色から褐色を帯びるため、遠目には白とえび茶がまだらに混じって見えます。同じ斜面でも花の色は白から淡紅までばらつき、咲く日も数日ずれます。一本ずつ姿が違うこと自体が手がかりで、これは種から育った木がそれぞれ違う性質を持つためです。国土技術政策総合研究所『わが国の街路樹Ⅸ』のサクラ類の内訳では2万7768本で、ソメイヨシノに次ぐ本数でした。

葉と樹皮

葉は互生し、長さ8〜12cmの長楕円形で先が細く伸びます。決め手は裏側で、白い粉をふいたような白緑色になり、表とはっきり色が違います。ふちの鋸歯は先が細くとがり、重なりません。葉柄の上部に一対の小さな蜜腺が付くのはサクラ類に共通します。若葉の赤褐色は初夏までに緑へ移るので、色で引けるのは春だけです。樹皮は暗紫褐色で、横に長い皮目が帯のように並びます。

季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)

花は3月下旬から4月中旬に開き、同じ場所でも木ごとに数日から一週間ずれます。花と若葉が一緒に伸びるため、満開でも枝の透け方が残り、散り際には花びらと若葉が混じって落ちます。6月には直径7〜10mmの実が黒紫に熟して落ち、歩道に紫の染みを残します。落葉後の枝先には丸みのある冬芽が並び、花芽は葉芽よりふくらんで見分けられます。

触れたらどうなるか

花と葉、樹皮のいずれでも、かぶれた例は報告されていません。手に残るのは幹の傷から出る粘る樹液で、乾くと飴色に固まり、石けんとぬるま湯で落ちます。むしろ注意するのは葉に付く虫で、毛やとげを持つ幼虫が葉裏にいることがあり、触れると痛みや発疹が残ります。枝を手前へ引き寄せる前に、葉の裏をのぞきます。落ちた実の果肉は衣類に薄い染みを残し、拾った子どもには子どもが実を口に入れたときを見ます。

まちがえやすい木

ソメイヨシノとは、花と葉の順で分かれます。ソメイヨシノは花だけが先に開き、葉は散り際から出ます。オオシマザクラは若葉が最初から緑で、花が白く大きく、ヤマザクラの赤い若葉とは色が違います。カスミザクラは葉柄と花柄に毛があり、開花も一週間ほど遅れます。八重咲きのサトザクラの仲間は花弁が数十枚あるので外せます。公園には自生の木と植えた木が混じるため、一本の姿だけでどちらかを決めないようにします。