タブノキ

公園と庭の木

触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 春(3〜5月)

春先、枝先の太い冬芽が開いて赤い新芽が立ち上がります。この赤みは遠くからでも目に入り、常緑の木が混じる樹冠の中でタブノキを拾う手がかりになります。

ひと目の手がかり

3月から4月の枝先が決め手になります。親指の先ほどに膨らんだ冬芽がほどけ、赤みを帯びた新芽と花序が一緒に立ち上がるため、常緑の樹冠に赤い房が点々と浮かびます。冬芽の大きさは冬のうちから目立ち、葉のない季節でも見当がつきます。国土技術政策総合研究所「わが国の街路樹」の高木の本数では32位・4万8249本で、海に近い社寺林では大木がまとまって残ります。潮風の当たる斜面でも枝を広げます。

葉と樹皮

葉は長さ8〜15cmほどの倒卵状の長楕円形で、ふちに鋸歯のない全縁、厚い革質で表につやがあります。枝先に集まってつき、裏は白みを帯びます。もんでも匂いは立たず、葉脈の分かれ目にダニ室の膨らみもありません。樹皮は灰褐色でおおむねなめらかで、丸い皮目が点々と散り、老木では浅く縦に裂けます。皮目は近づけば数えられるほどの大きさです。

季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)

4月から5月、新芽と同時に黄緑色の花が円錐状に咲き、樹冠が一段明るくなります。7月から8月には直径1cmほどの実が黒紫に熟し、実を支える柄が赤く色づくため、黒と赤の対比が遠目にも見えます。ヒヨドリやムクドリが枝に集まる時期でもあります。実の落ちた歩道が点々と紫に染まるのもこの季節で、冬は枝先の冬芽がしだいに膨らみます。

触れたらどうなるか

毛もとげも持たない木で、葉と樹皮では困りません。厚い葉はふちもなめらかで、手に引っかかりません。熟した実の黒紫の果汁は、衣類や靴に付くと色が残ります。歩道に落ちた実は踏むと滑ることもあります。樹皮を粉にして使ってきた歴史はありますが、街の木で樹皮をはがす場面はなく、生きた幹から強くにじむ樹液も持ちません。

まちがえやすい木

同じクスノキ科のクスノキが相手です。分けるのは3点で、葉をもんだときの匂いはクスノキでは樟脳のように立ち、タブノキでは立ちません。葉脈はクスノキが基部から3本の三行脈で、分かれ目にダニ室という小さな膨らみがあり、タブノキは羽状脈で膨らみがありません。枝先の冬芽も、タブノキだけが親指の先ほどに膨らみます。樹皮の白い斑もクスノキ側の特徴です。