カツラ
公園と庭の木
触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 秋(9〜11月)
葉が枝に向かい合ってつく広葉樹は、街に多くありません。ハート形の葉が対生し、秋の落ち葉からカラメルに似た甘い香りが立つ木がカツラです。
ひと目の手がかり
枝の同じ高さから、葉が2枚ずつ向かい合って出ます。この対生という付き方の広葉樹は街に少なく、葉序を見るだけで候補がかなり絞れます。葉は先のとがらない円いハート形で、ふちには波打つ丸い鋸歯が並びます。国土技術政策総合研究所「わが国の街路樹」が道路管理者を対象に数えた高木の本数では28位の5万2456本で、公園や学校の広場にも広く植わります。高い枝に届かないときは、幹の足元から出た若い枝の葉で確かめられます。
葉と樹皮
葉は幅の広い心形で、基部のくぼみに細い葉柄がつきます。長さは3〜7cmほどと大きくはなく、先はとがらずに丸く終わり、ふちには波形の鋸歯が並びます。葉脈は基部から数本が放射状に出る掌状脈で、葉脈の走り方も見分けを支えます。樹皮は若い木では灰褐色でなめらか、太った木では縦に細長くはがれるようになります。幹が根元から何本も立ち上がる株立ちの姿になりやすく、遠目には1本の木に見えないこともあります。
季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)
10月から11月にかけて葉が黄色く染まり、そのころ足元の落ち葉からカラメルに似た甘い香りが立ちます。もとは葉が枯れる過程で増えるマルトールという成分で、枝の葉より、乾きはじめた落ち葉に近づいたほうが分かります。花は葉より早い3月から4月に咲き、花びらを持たない赤い雄しべの塊が枝を染めます。雌雄異株なので実がつくのは雌株だけで、細い袋状の実が冬まで残ります。
触れたらどうなるか
葉にも落ち葉にも、かぶれの報告はありません。秋の甘い香りは葉に含まれるマルトールが枯れる過程で立つもので、鼻で確かめられる手がかりとして扱えます。とげも刺毛もなく、切り口から強くにじむ樹液も持ちません。落ち葉を素手でかき集めるとき、気をつけるのは木そのものではなく下敷きになった枝やガラス片です。葉を持ち帰る前には、その木の管理者を公園の木と草で確かめます。
まちがえやすい木
同じ心形の葉を持つハナズオウとよく取り違えられます。分けるのは葉の付き方で、カツラは向かい合う対生、ハナズオウは互い違いの互生です。ハナズオウは春に枝へ直接、紅紫の花を密につけ、夏には平たいさやを下げます。対生という点ではハナミズキも同じですが、こちらは葉の先がとがり、葉脈が縁に沿って弧を描くため、丸い心形とは重なりません。葉の形と付き方を一度に見れば、迷いは残りません。