ヤブツバキ
公園と庭の木
触れたときの扱い: 樹液・毛・汁に注意(触れたら洗う) / 見ごろ: 冬(12〜2月)
花が、丸ごとぽとりと落ちます。花びらの根元が雄しべの筒とつながっているため、ばらばらに散らずに一つの塊のまま落ちる木です。
ひと目の手がかり
手がかりは木の下にあります。花が花びらごと丸ごと落ち、地面に赤いままの花が並びます。花は12月から3月、赤い5弁が半開きに開き、中心の雄しべが根元でまとまって筒になります。花びらの根元がこの筒とつながるため、ばらばらにならずに落ちます。国土技術政策総合研究所『わが国の街路樹Ⅸ』の令和3年度末の集計では、ツバキ類5万4442本のうち2万1288本がこの木でした。
葉と樹皮
葉は長さ5〜12cmの楕円で、革のように厚く、表は強く光ります。縁には浅く細かい鋸歯が並び、葉柄に毛がないことがサザンカとの分かれ目の一つです。裏を見ても毛はほとんどなく、主脈だけが太く通ります。樹皮は灰白色でなめらか、古い幹では薄くはがれてまだらの模様になります。刈り込みに耐えるので生垣にも仕立てられ、幹の低いところから枝を出します。
季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)
12月から3月に咲き、寒い時期に花を開く数少ない木です。花にはメジロやヒヨドリが蜜を求めて訪れ、鳥が花粉を運びます。実は直径3〜4cmの球形で、9月から10月に厚い果皮が三つに裂けて褐色の種子が落ちます。冬芽は細くとがり、花芽だけが丸くふくらむので、冬の芽の形でその年の花の量が読めます。暖かい地方では11月から咲きはじめる株もあり、落ちた花は色を保ったまま数日残ります。
触れたらどうなるか
注意は葉の裏です。春(4月から6月)と夏(8月から9月)の二度、チャドクガの幼虫が葉裏に並び、抜けた毒針毛が葉や風に残ります。触れると赤いぶつぶつと強いかゆみが出て、症状が数日から2週間続くことがあります。幼虫が去ったあとの葉や、干した洗濯物に付いた毛でも起きます。こすらず粘着テープで毛を取り、流水と石けんで洗います。花や樹皮で同じ症状の報告は見当たりません。毛虫の側の記事はオトモキャンプのイラガにあります。
まちがえやすい木
分かれ目は花の落ち方です。サザンカは花びらが1枚ずつばらばらに散り、雄しべも根元まで分かれます。咲く時期も10月から12月と早く、葉柄と若い枝に短い毛があって、鋸歯も粗く目立ちます。園芸品種では花の色と形が重なるため、落ちた花の形と葉柄の毛の二つで見ます。同じ属のチャノキは秋に白い小花を下向きにつけ、葉も小さくまとまります。チャドクガはどれにも付くので、扱いは同じにします。