シマトネリコ
公園と庭の木
触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 一年中
羽状複葉なのに、冬も葉が落ちません。街で見る複葉の木はたいてい落葉するので、この組み合わせだけで候補がほとんど絞れます。
ひと目の手がかり
奇数羽状複葉なのに常緑という組み合わせが決め手です。小葉は2〜7対で表に光沢があり、縁は浅く波打ちます。細い幹が数本立つ株立ちで植えられることが多く、小葉が風でよく揺れるので遠目にも動きで気づきます。国土技術政策総合研究所『わが国の街路樹Ⅸ』の令和3年度末の集計では、トネリコ類1万4024本のうち1万1456本がこの木で、街の羽状複葉では最も新しく増えた顔ぶれです。
葉と樹皮
葉は枝に向かい合ってつき(葉序)、その1枚が長さ3〜10cmの小葉を数対もつ複葉です。小葉の縁に鋸歯はほとんど出ず、指でなぞるとなめらかに滑ります。樹皮は灰白色で、こすったような淡いまだらが入り、若い幹ほど白く見えます。植えたときの背丈から数年で屋根に届くほど伸びるため、庭では枝を詰めて高さを保っている株が目立ちます。寒さの厳しい年は下のほうの葉から落ちます。
季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)
5月から7月、枝先に白い小花が円錐状に集まった花序が立ち、木全体が白くかすんで見えます。花の一つ一つは数ミリと小さく、遠目には泡のようにも映ります。開花中の木の下へ入ると、散った花が白い粉のように積もります。秋には細長い翼果が房になり、長さ2〜3cmの羽根が枯れ色のまま冬まで枝に残ります。常緑なので葉の見どころが冬に途切れませんが、寒波のあとは葉が茶色く傷み、春に新しい葉と入れ替わります。
触れたらどうなるか
葉・枝・樹液のいずれについても、触れて起きる症状の報告は見当たりません。とげも刺す毛もなく、枝を手で押しのけても引っかかりません。5月から7月の花には小さな虫が集まるので、枝先に顔を寄せる前に虫の出入りを見ます。同じ属の花粉は欧米で花粉症の原因として調べられており、大量に咲いた木の下で鼻や目に来る人がいます。剪定で出た樹液は乾くと粘り、手や道具に残ります。
まちがえやすい木
同じ属のトネリコやアオダモは冬に葉を落とすので、落葉期に見れば迷いません(常緑と落葉)。小葉の数が少なく、1枚あたりが大きいことも違いです。ネムノキは複葉が二回に分かれて小葉がずっと細かく、こちらも冬は裸になります。トウネズミモチは同じ常緑でも葉が1枚ずつの単葉で、複葉ではありません。夏に葉だけで迷ったら、小葉の縁の波打ちと幹の白いまだらを見ます。