エノキ
公園と庭の木
触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 秋(9〜11月)
葉の先半分にだけ鋸歯が出る木です。基部から3本の脈が立ち上がる点と合わせると、公園の大木に混じる似た3種の中から1本を選び出せます。
ひと目の手がかり
まず葉のふちを、根元から先へ指でたどります。鋸歯が先半分にしか現れず、基部側はなめらかなら、エノキの可能性が高くなります。加えて基部から3本の脈が扇形に立ち上がる三行脈が見えれば、ほぼ決まります。街道の一里塚や社寺の境内に大木が残るのは、塚の目印として植えられた木が引き継がれてきたためで、国土技術政策総合研究所「わが国の街路樹」の高木の本数では52位・1万8546本と、道路沿いには多くありません。
葉と樹皮
葉は長さ4〜9cmほどの卵形で、左右の形がわずかに揃わないのが常です。表面に強いざらつきはなく、鋸歯は先半分にとどまります。葉脈は基部から出る3本が目立ち、側脈は縁の手前で曲がり、鋸歯の先までは届きません。樹皮は灰褐色でおおむねなめらかで、老木でも小さなこぶや浅い割れが出る程度です。板状にはがれ落ちない樹皮は、遠目にケヤキと迷ったときの支えになります。
季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)
4月、葉が開くのと同時に淡緑の小花が咲きますが、遠目には目立ちません。見どころは9月から10月で、直径5〜6mmほどの実が橙褐色に熟し、ヒヨドリやムクドリが枝に集まります。葉はオオムラサキやゴマダラチョウの幼虫が育つ葉でもあり、樹下の落ち葉を探す観察が知られます。秋の色づきは黄色止まりで、冬は細い枝先が箒を伏せたように広がる姿になります。
触れたらどうなるか
触れて困る部位は、葉にも実にも見当たりません。葉の表は軽くざらつく程度で、ムクノキのように指が引っかかる硬さはありません。気をつける相手は木そのものより、幹や枝に来る虫のほうで、樹上の毛虫や、樹液のにじむ場所に集まるハチには近づかないほうが確かです。熟して落ちた実は靴底で潰れ、色が舗装に残ります。幹の穴からしみ出す跡も、虫の出入りを示します。
まちがえやすい木
ケヤキとムクノキの3種を分けられるかが、公園の大木を引くときの最初の関門です。ケヤキは鋸歯が縁全体に並び、樹皮が鱗のようにはがれて斑になります。ムクノキは葉の表がやすりのようにざらつき、側脈が鋸歯の先まで届きます。エノキはその中間で、鋸歯は先半分だけ、樹皮はなめらかなまま残ります。三行脈は3種に共通するので決め手になりません。葉1枚とふちの指ざわりの2点で分かれます。