ハクモクレン
公園と庭の木
触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 春(3〜5月)
花はどれも上を向き、最後まで開ききりません。街路樹としては多くありませんが、庭木と公園樹として、3月の白い花をいちばん広く見せる木です。
ひと目の手がかり
花がすべて上を向き、閉じ気味の杯の形のまま咲きます。花被片は9枚で、内も外もほぼ同じ厚みと幅を持ち、開ききらないので遠目には白い蝋燭が枝先に並んで見えます。花の下に葉を伴わないことがコブシとの分かれ目で、枝には花だけが付きます。国土技術政策総合研究所『わが国の街路樹Ⅸ』では63位、1万3959本と街路樹では多くありませんが、庭と公園では段違いに広く見ます。
葉と樹皮
葉は長さ10〜20cmの倒卵形で、先が急に短くとがり、ふちに切れ込みも鋸歯もありません。コブシの葉より一回り大きく、厚みもあります。葉が出るのは花が散った後なので、花の時期に葉で確かめることはできません。枝は太く、葉の落ちた跡が大きな半円形の葉痕として残ります。樹皮は灰白色でほとんど裂けず、横向きの皮目が並び、枝先の芽は指ほどに太ります。
季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)
3月中旬から下旬、葉より先に花が開き、10日ほどで花被片が落ちます。暖かい年は3月上旬から開き、年によって半月ほど前後します。落ちた花被片は厚く肉質で、濡れた歩道では滑ります。9月から10月には袋果の集まった実が赤褐色に熟し、割れて赤い種子が糸で垂れます。花の無い時期の手がかりは冬芽で、銀色の毛におおわれた大きな芽が冬じゅう枝先に立ちます。
触れたらどうなるか
花・葉・樹皮で肌が荒れたという例は、記録に出てきません。冬芽をおおう毛は長くて柔らかく、触れても皮膚に刺さりません。困るのは落ちた花で、厚い花被片は濡れると路面に貼り付き、踏むと滑ります。踏んだ跡は茶色い染みになって残ります。実と種子は口に入れるものではなく、子どもが拾ったときは子どもが実を口に入れたときを見ます。公園で落ちた花や実を拾うときの考え方は公園の木と草にあります。
まちがえやすい木
コブシと咲く時期が重なります。コブシの花弁は細く、開くほど後ろへ反り返り、向きも上下ばらばらで、花の下に小さな葉を一枚立てます。ハクモクレンの花被片は厚くて幅広く、上を向いたまま開ききりません。紫のシモクレンは背が低く枝が横へ張り、花期も4月と遅いので迷いません。外側だけ淡い紫を帯びるサラサモクレンは、この二つの交雑として庭に植えられ、色の濃さも中間に出ます。