キンモクセイ

公園と庭の木

触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 秋(9〜11月)

先に匂いが来て、あとから木を探します。9月下旬から10月、オレンジ色の小花が葉のつけ根に固まって咲き、風下まで香りが流れます。

ひと目の手がかり

この木だけは目より先に鼻で見つかります。9月下旬から10月、オレンジ色の小花が葉のつけ根に固まって咲き、香りが風下へ流れます。匂いに気づいたら足を止め、垣根や塀の高さでオレンジ色の粒を探すのが早道です。花は葉のかげに隠れがちで、姿より匂いのほうが遠くまで届きます。国土技術政策総合研究所『わが国の街路樹Ⅸ』の令和3年度末の集計では2万3746本で、公園と生垣の両方に植えられています。

葉と樹皮

葉は枝に向かい合ってつき、長さ7〜12cmの細長い楕円で、革のように厚く硬い手ざわりです。縁は基本的になめらかですが、若い枝の葉には浅い鋸歯が出ることがあります。光に透かすと網目状の葉脈がはっきり浮かびます。樹皮は灰褐色でざらつき、丸い皮目が点々と散ります。刈り込みに耐えるため四角く仕立てられた株が多く、葉が密に重なるので目隠しにも使われます。

季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)

開花は9月下旬から10月で、満開から散り終わるまでが数日から1週間と短く、木の下がオレンジ色に染まります。年によっては間をおいて二度咲くことがあります。日本にあるのはほぼ雄株とされ、実がなる姿はほとんど見られません。株分けや挿し木で増やされてきたことが、同じ地域で開花の時期がそろって見えることにもつながっています。冬は常緑の葉だけが残ります。

触れたらどうなるか

葉・花・樹皮のいずれについても、触れて起きる皮膚の症状は報告が見当たりません。葉は硬いものの縁の鋸歯は浅く、枝をよけるときに軽く引っかかる程度です。散ったあとの花は雨で歩道に貼りつき、濡れた花の上は滑りやすくなります。刈り込まれた生垣では枝の切り口が硬いまま残るので、隙間へ手を入れる前に目の高さも確かめます。香りの成分は空気に混じって鼻に届くもので、体への効き目としてではなく、木を見つける手がかりとして扱います。

まちがえやすい木

花が白ければギンモクセイで、香りはより控えめです。葉の縁に先のとがった鋸歯がトゲのように並ぶならヒイラギモクセイで、こちらの花も白く、生垣に使われます。花のない季節に迷うのはトウネズミモチで、葉が向かい合う点は同じですが、光に透かすと側脈が透けて見えること、秋から冬に黒い実が房になることで離れます。キンモクセイには実がほとんどつきません。