採点のしくみ図鑑
精密採点のしくみ(採点の中身)
歌声を機械が数値化して点にする流れ。マイクから入った声を、機種が高さと長さの数値に分解し、あらかじめ入っている譜面データと一音ずつ突き合わせています。見ているのは声の高さ、音量、音の出入りの時刻といった数字だけで、声の魅力は見ていません。譜面どおりに近いかを測る装置だと思っておくと、点の動きが読めるようになります。
音程正確率(採点の中身)
譜面の高さと声がどれだけ重なったかの割合。曲じゅうの音符のうち、正しい高さで鳴っていた時間が何割あったかを示す数字です。判定には幅があり、半音の四分の一ほどのずれなら許す機種が多いとされます。総合点への効き方がいちばん強く、八割を超えたあたりから点はまとまって伸びはじめます。細かい線引きは公表されていないので…
安定性(採点の中身)
声の高さと音量がぶれずに続いているかの評価。一つの音を出しているあいだに、高さと音量がどれだけ揺れずに続いたかを見る項目です。同じ音程を取れていても、ふらつく声は評価が下がります。原因のほとんどは息にあり、声の支えが抜けた瞬間に声は下がりながら細くなります。歌の土台がいちばん素直に出る場所です。
表現力(採点の中身)
抑揚やこぶしなど歌い回しの評価枠。抑揚、しゃくりやこぶしといった技、伸ばす音の扱いをまとめて数値にした枠です。感情が伝わったかは測っていません。中身は音量の上げ下げの幅と、登録された技を何回使ったかの数で、機械が数えられるものだけが表現になります。機械が知らない歌い回しは、どれだけ良くても数字には出ません。
ビブラートとロングトーンの評価(採点の中身)
伸ばす音の長さと揺れ方に付く評価。ある長さ以上のばした音を拾い、合計の秒数と揺れの速さと深さを見ています。ビブラートは一秒に五から七回あたりの整った波が認められやすく、ロングトーンは二秒ほど続いた音から数えられる作りが多いとされます。線引きは公表されていないので、あくまで目安として読んでください。
リズムの評価(採点の中身)
音の出だしと切りが譜面とどれだけ合うか。一音ずつの出た時刻と切れた時刻を譜面と比べ、早いか遅いかを見ています。多くの機種は結果画面で走り気味かもたり気味かという向きだけを示します。許される幅はコンマ数秒と言われ、歌詞を丁寧に読むほど遅れるという癖がいちばん出やすい場所です。向きが分かるだけでも直す手がかりになります。
総合点の組み立て(採点の中身)
各項目が合わさって点になる仕組み。音程、安定性、表現力、リズムといった項目にそれぞれ重みが付き、そこへ加点と減点を足し引きした結果が総合点です。重みそのものは公開されていませんが、音程がいちばん重いことは各機種でおおむね共通しています。同じ一点でも、どの項目で得たかで中身はまるで違います。
しゃくりの加点(加点をとる)
本来の音より下から入って合わせる動きの加点。狙う高さからいきなり入るのではなく、半音から1音ほど低いところで声を出し、すぐ目標の音へ滑り上げる動きです。機械が見ているのは音の立ち上がりの軌跡で、判定されるのは入り口の一瞬だけ。伸ばしている最中の動きは、別の項目として数えられます。技術そのものはしゃくりと同じで…
こぶしの加点(加点をとる)
音を一瞬だけ跳ね上げてすぐ戻す装飾の加点。伸ばしている音の途中で、一瞬だけ上へ跳ねてすぐ戻る動きです。機械は曲のジャンルを見ておらず、短くて速い一回の山があれば数えます。同じ揺れでも規則正しく続けばビブラート、単発で終われば「こぶし」という分かれ方をするので、どちらに入るかは揺らす回数の違いで決まります。
フォールの加点(加点をとる)
語尾の音を下へ落として消す動きの加点。フレーズの終わりで、伸ばしていた音を半音から数音ぶん下へ滑らせて消す動きです。しゃくりが入り口の飾りなら、こちらは出口の飾り。機械は音程が下向きに変化して途切れる形を探しています。体の使い方はフォールの側に書いたとおりで、採点はその回数を数えているだけです。
ビブラートのタイプ判定(加点をとる)
揺れの形からビブラートに種類名が付くしくみ。採点機は揺れの速さ・深さ・始まり方を測り、いくつかの型に分けて名前を付けます。上下どちらへも揺れるのか、下へ沈みながら揺れるのか、伸ばしてから遅れて揺れ始めるのか、といった違いです。型そのものに優劣はなく、どれが出ても点が上下するわけではありません。…
ロングトーンの伸ばし方(加点をとる)
長く伸ばす音の安定を採点がどう見るか。ある長さを超えて伸ばした音について、機械は音程のブレ幅と音量の動きを見ています。基準に届かない短い音は、そもそも数に入りません。まっすぐ保つだけでなく、終わりに向けて少し膨らむ形も良く出やすい一方、途中で細くなって下がると安定性のほうを削ります。…
抑揚の付け方(加点をとる)
声の大小の差を採点がどう測るか。フレーズごとのいちばん大きい音量といちばん小さい音量の差を見ています。同じ強さで通すと差が生まれないので、全部を大声で押し切る歌い方がここではいちばん伸びません。表現としての中身は強弱の付け方と同じで、採点はその差の大きさだけを数字に置き換えています。
出だしと語尾のズレ(減点を避ける)
フレーズの頭と終わりで生まれる取りこぼし。採点機は音程バーの区間ごとに、正しい高さの声がどれだけの時間入っていたかを見ています。頭の一文字が半拍ぶん遅れれば前半が空いたまま次へ進み、語尾を早く切れば後ろが未入力のまま残ります。真ん中をどれだけきれいに歌っても、入りと止めの半拍だけで削られるので…
ロングトーンの音程落ち(減点を避ける)
伸ばすうちに音が下がっていく現象。長く伸ばすほど肺の空気は減り、声帯へ送る息の圧力が落ちます。圧が下がると声帯を張っておく力もゆるむので、狙いより下へぶら下がります。2秒を過ぎたあたりから起きやすい変化です。採点は伸ばしている間ずっと高さを見ており、後半の沈みが音程正確率と安定性の両方を同時に削ります。…
ブレスのノイズ(減点を避ける)
吸う音がマイクに乗って点を削ること。息を吸う音はほんの一瞬の雑音ですが、マイクの目の前で鳴ると採点機が声として拾ってしまうことがあります。高さの付かない音が入れば、その区間は外れた扱いになったり、次の音の出だしが遅れて判定されたりします。点の話を抜きにしても…
早入りと遅れ(減点を避ける)
拍に対して声が前後にずれること。採点は、譜面上の位置と実際に声が出た位置の差を測っています。0.1秒前後までは許す設計が多いものの、それを超えるとリズムの評価が下がり、音程を見る区間までずれて二重に響きます。早く出てしまう人と遅れる人では原因がまったく別なので、まず自分がどちらかを知るところからです。
マイクの扱いによる取りこぼし(減点を避ける)
声が拾われず歌っていないと判定されること。採点が見ているのは、マイクから入った音だけです。口が離れたり網の部分を手で覆ったりすると声が細く入り、機械は歌っていないと判断します。実際にはきれいに歌えていても、その区間は入力なしとして処理され、歌った実感と点がいちばん食い違うのがこの失点です。
機種による採点の違い(採点との付き合い方)
同じ歌でも点数が変わってしまう理由。通信カラオケには大きく二つの系統があり、採点の作りもそれぞれ別ものです。音程を許す幅、加点として数える技術の種類、抑揚の測り方が違うので、同じ人が同じ曲を歌っても5点前後、条件によってはもっと動きます。どちらが正しいということはありませんし、優劣の話でもありません。
全国採点とランキング(採点との付き合い方)
同じ曲を歌った人の中での位置づけ。採点した点を集計し、その曲を歌った人の中で何番目か、平均と比べてどうかを見せるしくみです。相対の物差しなので、同じ点でも順位は曲によってまるで違います。歌う人の少ない曲なら数十人ほどの中での順位になり、上位に入りやすい一方、同じ点でも人気曲では平凡な位置に沈みます。
採点に向く曲と向かない曲(採点との付き合い方)
点が出やすい曲の作りと出にくい曲の作り。点が出やすいのは、音の長さがそろい、音域が広すぎず、伸ばす場所がはっきりしている曲です。逆に細かい譜割りが続く曲や語りに近い曲、原曲が大きく崩して歌っている曲は、機械の譜面と実際の歌が離れていくので、歌えている感覚ほど数字が伸びません。うまい下手とは別の話です。
点数とうまさは別のもの(採点との付き合い方)
採点が測れているものと測れていないもの。採点が見ているのは譜面との一致と、あらかじめ決められた技術が何回出たかです。声の魅力、言葉の伝わり方、その場の空気に合っているかは一つも測られていません。だから高い点は機械の求める歌い方に近いという意味であって、それ以上でもそれ以下でもない数字です。