ロングトーンの音程落ち
減点を避ける
伸ばすうちに音が下がっていく現象
何を見ている?
長く伸ばすほど肺の空気は減り、声帯へ送る息の圧力が落ちます。圧が下がると声帯を張っておく力もゆるむので、狙いより下へぶら下がります。2秒を過ぎたあたりから起きやすい変化です。採点は伸ばしている間ずっと高さを見ており、後半の沈みが音程正確率と安定性の両方を同時に削ります。本人には出し切った感覚しか残らず、録音で聞き返して初めて最後の一拍だけ低いと気づきます。
どうすれば伸びるか
息を使い切らないことです。椅子に浅く座ったまま4拍で吸って8拍で吐くのを3回、吐き終わりでもお腹に少し残る量を体で覚えます。歌うときは伸ばしの後半でみぞおちを軽く前へ送り、高さを保ちます。下がった気配がしたらほんの少し上を狙うつもりで出すと、バーの真ん中に戻ります。狙いを変えるのは伸ばしの三拍目あたりからで間に合います。息の残量が体でつかめるまでは数週間ぶんは見てください。
勘違いしやすいところ
音量を上げれば保てると思って押すと、のどが締まってかえってぶら下がります。ビブラートでごまかす手もありますが、揺れの中心が下がっていれば判定は落ちたままです。伸ばしの最後に息だけが残る状態も、次の入りが遅れる原因になります。息は八割で足りると考え、一拍分の息を余らせて終わってください。
機種による違い・補足
伸ばしの評価は機種差が大きく、2秒以上を対象にするものや、揺れの有無で枠を分けるものがあります。基準そのものが数年ごとに見直されるので、去年の点とは比べにくいところもあります。共通しているのは最後まで同じ高さの音が強いことで、これは点のためというより聞く人に安定して届く歌の条件でもあります。
解説動画: 【プロ直伝!】声が揺れたりかすれたり…その不安定な声は〇〇と〇〇で解決!/ささきひとえ【VocaLifeチャンネル】
揺れと下がりの二つの原因: 歌うと声が揺れたり、音程が定まらなかったりする原因を、この講師は呼気圧と声帯閉鎖の2つに絞る。呼気圧とは息を送ることで生じる圧力のことで、たくさん使う意味ではない。数多くの人を見てきて、まず呼気が弱すぎると感じるという。
Sの音で15秒: 最初の練習はSの発音のまま15秒キープする。力んで固まった状態ではなく、息にスピードがついて動いている感じを体で覚えるのが目的。強さの見当としては、思いきり鼻をかむときや、声を出して応援しているときくらいの圧力だと説明している。
ハミングをまっすぐ: 次に、その圧をかけたままハミングをまっすぐ伸ばす。途中で揺れてしまうとダメで、狙いは強さではなく安定感だという。喉が痛くなるのは力が入りすぎのサインなので、少し口を開けて力を分散させるとよい。伸ばせたら、言い直さずそのまま母音へ移していく。
音を動かすと崩れる: 母音に音程を付けると急に難しくなる。音を変えたとたんに呼気の状態が変わり、力んだり逆に弱くなったりする。とくに音程が下がる場面は、揺れたりそのままずり下がったりしやすい。呼気が安定していれば声も安定してくるという。
声帯で息を食い止める: もう一つの声帯閉鎖は、張って合わさると安定した声になるという話。閉じられないと息を使いすぎて苦しくなる。息の流れは送りつつ、そこで食い止めて声に変えるのが要で、お腹から出せという指導では直らないことがあり、腹式呼吸の話とも別だと言う。