点数とうまさは別のもの
採点との付き合い方
採点が測れているものと測れていないもの
何を見ている?
採点が見ているのは譜面との一致と、あらかじめ決められた技術が何回出たかです。声の魅力、言葉の伝わり方、その場の空気に合っているかは一つも測られていません。だから高い点は機械の求める歌い方に近いという意味であって、それ以上でもそれ以下でもない数字です。
どうすれば伸びるか
点は練習の道具として使うと合います。総合点ではなく音程正確率や抑揚のような数字を一つだけ選び、前回より上がったかを見ます。人前で歌う日はいっそ採点を切って、聞いている人の顔を見ながら歌ってください。そのほうがその一曲は良くなりますし、記憶にも残ります。
勘違いしやすいところ
点が出ないことを才能がない証拠のように受け取る必要はありません。声の低い人や息の柔らかい人は、機械の物差しでは不利に出やすいことがあります。逆に、自分の高得点を人に押しつけて回ると、その部屋の全員が歌いにくくなります。点は自分だけの物差しにしておくのが、いちばん平和です。
機種による違い・補足
採点の基準は数年ごとに見直され、そのたびに同じ歌の点が動きます。基準が変われば点も変わる程度のものだと知っておくと、数字に振り回されずに済みます。自分の変化を確かめたいなら、録音機能で半年前の声と聞き比べるほうが、よほどはっきり分かります。
解説動画: 【歌唱力】歌がうまいってどういうこと?ボイストレーナーが超わかりやすく解説します。/しらスタ【歌唱力向上委員会】
100点の向こう側: 100点は正しい音程と正しいリズムで歌えた証拠ではあるが、その先にまだ段階がある——という置き方から始まる。歌のうまさを音程・リズム・発声の3つに分け、それぞれに3段階の熟練度を立てる。カラオケの音程バーの合わせ方で外さない状態は、この分類だと音程のレベル1にあたる。
音程は線ではなく立体: レベル2は狙う音への入り方と抜け方。下から到達するか、上からか、まっすぐかで表情が変わり、下から入ると切ない感じが出る。レベル3は、正解と判定される幅の中でわずかに高め・低めを選ぶこと。明るさや切なさを作るためにここを動かす歌い手がいて、音程には奥行きがあると表現している。
リズムはタイミングだけではない: レベル1が正しいタイミング、レベル2がフィール——リズムの最小単位が均等な曲か、ハネている曲かを感じ取れるか。合っているように見えても細かい単位を捉えられていないことがある。レベル3はアクセントで、どこに置くかで音楽のジャンルが変わる。置き方は打楽器の叩き分けのように声色で作り分ける。
使える音域と声色: 発声のレベル1は音域の広さではなく、どの音量でも、どの母音でも出せる範囲があること。大声なら届くが小さな声では出ない音は、使える音域には数えないと言う。レベル2は息の量や深さを変える声色の使い分け、レベル3はエッジボイスやホイッスルボイスなどの特殊な技術と並べている。
服の数と着こなし: 3つの熟練度はタンスに入っている服の数でしかなく、歌はその着こなしだと締める。全部着込めばいいわけではなく、曲のイメージ・届け方・時代・自分のキャラ・誰に向けて歌うかで選ぶ。会場で映える大きな抑揚がイヤホンで聴かれる配信では過剰になる例も。軸がこれだけある以上、ひとつの点数で優劣は決まらない。