交渉とゲーム理論図鑑
囚人のジレンマ(ゲームの型)
囚人のジレンマは、二人がそれぞれ自分に得な方を選ぶと、二人とも協力したときより悪い結果に落ちてしまう、というゲームの型。各自が自分の利得だけを考えて選ぶと、全員にとってもっと良い結果があるのにそこへ行き着けない、という構造を表す型。相手がどちらを選んでも「裏切る」ほうが自分に得になるのに、二人とも裏切ると…
ゼロサムゲーム(ゲームの型)
ゼロサムゲームは、どんな結果になっても全員の利得の合計がゼロになる、一方の得が他方の損になるゲームの型。全員の利得を足すと、どの結果でも常にゼロになるゲーム。二人ゲームでは、一方が良くなれるのは他方を悪くするときだけになる。
鹿狩りゲーム(ゲームの型)
鹿狩りゲームは、協力すれば大きな獲物が取れるが確実に取れる小さな獲物もあるという、協力するには相手を当てにする賭けが要る型。全員が協力すれば大きな成果があるが、一人で確実に手に入る小さな成果もあり、協力するかどうかは相手が協力してくれる見込みに左右される、という型。
タカ・ハトゲーム(ゲームの型)
タカ・ハトゲームは、同じ資源をめぐって、引かずに争うか、引いて争いを避けるかを選ぶ型。両方が争うと損害が資源の価値を上回りうる。二人が一つの資源をめぐって、争いをやめない「タカ」か、争いを避けて退く「ハト」かを選ぶ型。二人ともタカだと、争いの損害のせいで、二人とも何も得ないより悪くなりうる。
逐次手番ゲーム(展開形ゲーム)(ゲームの型)
逐次手番ゲーム(展開形ゲーム)は、順番に選ぶゲームを、選択が枝分かれする木の形で表す型。あとの人は先の人の選択を見てから選べる。誰がいつ何を選べるかという順序を、枝分かれする木で表したゲーム。あとの手番の人は、先の選択を見たうえで選べる。同時に選ぶゲームと違い、「先に何が起きたか」が選択に影響する。
繰り返しゲーム(ゲームの型)
繰り返しゲームは、同じゲームを続けて行い、前の回の結果に応じて次の回の選び方を変えられる型。同じ相手と同じゲームを何度も続け、各回の選択が前の回で起きたことに左右されうる型。一回きりでは成り立たない協力が、均衡として成り立つ場合がある。
ナッシュ均衡(解きかたの考え方)
ナッシュ均衡は、ほかの人の選択が変わらないとき、自分だけ選択を変えても得をしない、という状態を指す考え方。全員の戦略の組のうち、誰も、ほかの人が戦略を変えないかぎり、自分の戦略を変えて利得を良くできないもの。「全員にとって最善」ではなく、「単独で動く理由がない」という安定性の条件である。
支配戦略(解きかたの考え方)
支配戦略は、相手がどう選んでも、ほかのどの選択より自分の利得が高くなる選択。ある選択が、相手のあらゆる選択に対して、自分の他の選択より良い利得をもたらすとき、その選択を支配戦略という。相手の出方を読まなくても選べる。
混合戦略(解きかたの考え方)
混合戦略は、複数の選択肢を決めた確率で使い分ける戦略。ナッシュ均衡の存在を保証するのに使われる。一つの選択肢に決めず、いくつかの選択肢を確率で使い分ける戦略。単独の選択肢を選ぶ戦略(純粋戦略)と区別される。
パレート効率(解きかたの考え方)
パレート効率は、誰かを悪くしないかぎり誰も良くできない状態。ナッシュ均衡の「安定」とは別の物差し。ある結果より、少なくとも一人が良くなり、誰も悪くならない別の結果があるとき、元の結果はパレート劣位にある。そういう別の結果がない状態を、パレート効率(パレート最適)という。
後ろ向き帰納法(解きかたの考え方)
後ろ向き帰納法は、順番に選ぶゲームを、最後の選択から順にさかのぼって解く手順。展開形のゲームで、木の末端に近い手番から順に、その手番の人が選ぶ最善の選択を決め、その結果を使って一つ前の手番の選択を決めていく、という解き方。
フォーカルポイント(解きかたの考え方)
フォーカルポイントは、均衡が多数あるとき、参加者の目に際立って見える選択に、話し合いなしで選択が集まる、という考え方。均衡がいくつもあって、理屈だけではどれが選ばれるか決まらないとき、参加者の目に際立って見える行動や結果が、選択の目印になるという考え方。
ナッシュ交渉解(交渉の考え方)
ナッシュ交渉解は、二人が協力して生まれる利得を分けるとき、決裂したら何を得るかと分けうる範囲から、分け方を一つ決める考え方。二人が協力すれば利得が生まれるとき、その分け方を、合意できなかった場合の各人の利得(決裂点)と、実現しうる利得の範囲から決める考え方。分け方が一つに定まる。
交互提案ゲーム(交渉の考え方)
交互提案ゲームは、二人が交互に分け方を提案し、相手が受け入れるか拒否して次に逆提案する、というパイの分け方の交渉の型。決まった大きさのパイを二人が分けるとき、交互に分け方を提案し合う交渉の型。受け手は提案を受け入れるか、拒否して交渉を続けるかを選ぶ。待つほど価値が目減りするという設定のもとで、均衡での分け方が求まる。
BATNA(交渉の考え方)
BATNAは、交渉がまとまらなかったときに選ぶ、最善の代わりの選択肢。合意案を比べる基準になる。Best Alternative to a Negotiated Agreement の略で、交渉が合意に至らなかったときに当事者が取る最善の代わりの選択肢。目の前の合意案が、それより良いかどうかの物差しになる。
合意可能領域(ZOPA)(交渉の考え方)
合意可能領域(ZOPA)は、双方が「合意しないよりまし」と考える合意案の範囲。双方の留保点が重なる部分。Zone of Possible Agreement の略。双方が、話がまとまらない状態よりも好ましいと考える合意案の集まり。双方の留保点が重なる範囲にできる。
立場と利害(交渉の考え方)
立場と利害は、相手が口にする要求(立場)と、その奥にある関心や事情(利害)を分けて考える区別。交渉で表に出る要求を「立場」、その要求の下にある動機や関心を「利害」と呼んで区別する考え方。立場がぶつかっていても、利害まで下りると両立する余地が見つかることがある、という見方である。
分配型交渉と統合型交渉(交渉の考え方)
分配型交渉と統合型交渉は、決まった大きさのパイを取り合う交渉と、論点を組み合わせて全体の価値を増やす交渉の区別。交渉を、決まった量の価値をどう切り分けるかを争う「分配型」と、複数の論点を組み合わせて全体の価値を増やそうとする「統合型」に分ける区別。