ナッシュ交渉解

交渉の考え方

ナッシュ交渉解は、二人が協力して生まれる利得を分けるとき、決裂したら何を得るかと分けうる範囲から、分け方を一つ決める考え方。

何を表す考え方か

二人が協力すれば利得が生まれるとき、その分け方を、合意できなかった場合の各人の利得(決裂点)と、実現しうる利得の範囲から決める考え方。分け方が一つに定まる。

どういう設定で考えるか

SEP の「ゲーム理論と倫理」の項は、交渉問題を、(一)実現可能な利得の集合と、(二)合意できなかったときに各人が得る利得を示す不一致点で表す。例として、二人が一本のワインを分ける場面が出てくる。半分ずつなら (0.5, 0.5)、二人が全部を要求して争うと (−1, −1) になる。SEP は、ナッシュ解を「協力の余剰を最大にする点」を選ぶものと説明している。

誰がいつ示したか

ジョン・ナッシュが1950年に『Econometrica』第18巻第2号の155〜162頁「The Bargaining Problem」で示した。要旨によれば、交渉や双方独占といった古典的な経済問題に、個人と二人組の行動についての少数の一般的な仮定から解を導く、新しい扱いを与えている。

当てはまらない条件

決裂点と実現可能な利得の範囲が入力として与えられている設定での考え方である。SEP は、ナッシュ解のほかに比例解などの別の解も並べ、どの性質を重んじるかで選ばれる解が変わると論じている。

よくある使われ方とのずれ

「ナッシュ交渉解は真ん中で折半すること」と読むと外れる。上のワインの例で半々になるのは二人の設定が対称だからで、入力に決裂点が含まれる以上、決裂点が違えば、同じ実現可能な範囲でも答えが変わりうる。