囚人のジレンマ
ゲームの型
囚人のジレンマは、二人がそれぞれ自分に得な方を選ぶと、二人とも協力したときより悪い結果に落ちてしまう、というゲームの型。
何を表す考え方か
各自が自分の利得だけを考えて選ぶと、全員にとってもっと良い結果があるのにそこへ行き着けない、という構造を表す型。相手がどちらを選んでも「裏切る」ほうが自分に得になるのに、二人とも裏切ると、二人とも協力したときより悪くなる。
どういう設定で考えるか
Stanford Encyclopedia of Philosophy(SEP)が使う物語では、二人の銀行強盗が別々に取り調べを受け、それぞれが自白するか黙秘するかを選ぶ。片方だけが自白すればその人は釈放され、黙秘した側は重い刑になる。双方が自白すれば双方の刑は軽くなり、双方が黙秘すれば銃器所持だけの軽い刑になる。利得を、片方だけ裏切る誘惑 T・双方が協力する報酬 R・双方が裏切る罰 P・片方だけ協力する損 S と置くと、T > R > P > S の順になる。
誰がいつ示したか
SEP によれば、この形のゲームは1950年のはじめにランド研究所のフラッドとドレッシャーが実験として作り、タッカーが囚人の物語を付けて心理学者にも説明できる形にした。「囚人のジレンマ」という名前が印刷物に初めて出たのは、ルースとライファの1957年の著作だという。
当てはまらない条件
二人が別々に取り調べを受け、相談できない設定で成り立つ型である。利得の順が T > R > P > S でなくなれば、別のゲームになる。同じ相手と繰り返す場合、SEP は罰と報酬によって協力が成り立ちうると説明している。
よくある使われ方とのずれ
「協力できないのは愚かだからだ」と読むと外れる。この型の要点は、各自にとって筋の通った選択が、全員にとって悪い結果になりうるという点にある。SEP の説明でも、双方が裏切る結果は双方が協力する結果より「パレート劣位」だが、各人が個別に選ぶかぎり裏切りが有利になる。ある場面がこの型かどうかは、利得の順が T > R > P > S になっているかで決まる。