後ろ向き帰納法

解きかたの考え方

後ろ向き帰納法は、順番に選ぶゲームを、最後の選択から順にさかのぼって解く手順。

何を表す考え方か

展開形のゲームで、木の末端に近い手番から順に、その手番の人が選ぶ最善の選択を決め、その結果を使って一つ前の手番の選択を決めていく、という解き方。

どういう設定で考えるか

SEP は、後ろ向き帰納法を「最終的な結果から現在の選択の問題へと後ろ向きに推論する」ものと説明し、この手順をツェルメロのアルゴリズムと呼ぶ。そうして得られる戦略は、ゲーム全体だけでなく、あらゆる部分ゲームでもナッシュ均衡になる(部分ゲーム完全均衡)。この項目のための仮の数値の木で考える。先手が「止める」を選べば (先手 2、後手 1)。「進む」を選ぶと後手が「分ける」(3、3)か「取る」(1、4)を選ぶ。後手は 4 > 3 なので「取る」を選び、先手は進めば 1、止めれば 2 なので「止める」を選ぶ。

誰がいつ示したか

SEP は、この手順をツェルメロのアルゴリズムと呼ぶ。部分ゲーム完全均衡の節は、各節で、その節から始まる部分ゲームの中で最も利得の高い道を選ぶ戦略として説明する。この名は、チェスでは先手が必ず勝てるか、後手が必ず勝てるか、少なくとも一方が引き分けにできるという1913年のツェルメロの結果にちなむ。アミールとエフスティグネーエフの2017年の論文は、この結果を、交互に手番のある有限段階の二人ゲーム全般に広げている。

当てはまらない条件

各人が、あとの手番でも最善の選択をすると互いに見込んでいることが前提になる。SEP は、後ろ向き帰納法をめぐるパラドクスに対処するため、1975年にゼルテンが「震える手」の考えを導入したと述べている。ゼルテンがこれを示した論文は、1975年の『International Journal of Game Theory』誌に載っている。

よくある使われ方とのずれ

「ゴールから逆算する」と言い換えられることがあるが、ここでの手順は、利得が決まっている木の上で、末端から各手番の選択を決めていく厳密な手続きである。目標を決めて計画を逆算することとは、対象も手続きも違う。