ナッシュ均衡
解きかたの考え方
ナッシュ均衡は、ほかの人の選択が変わらないとき、自分だけ選択を変えても得をしない、という状態を指す考え方。
何を表す考え方か
全員の戦略の組のうち、誰も、ほかの人が戦略を変えないかぎり、自分の戦略を変えて利得を良くできないもの。「全員にとって最善」ではなく、「単独で動く理由がない」という安定性の条件である。
どういう設定で考えるか
SEP はナッシュ均衡を、どのプレイヤーも、他が戦略を変えないかぎり自分の戦略を変えて利得を改善できない戦略の組と説明する。囚人のジレンマでは、双方が自白する組がナッシュ均衡になる。SEP の進化ゲーム理論の項は、混合戦略を許せば、どの非協力ゲームにもナッシュ均衡があると述べている。
誰がいつ示したか
ジョン・ナッシュが1950年に、米国科学アカデミー紀要(PNAS)第36巻の48〜49頁「Equilibrium Points in N-Person Games」で示した。SEP はこの概念と存在の結果をナッシュ(1950)に帰している。
当てはまらない条件
均衡は一つとは限らない。上の鹿狩りゲームの仮の数値では、「二人とも鹿」と「二人とも野兎」の二つが均衡になる。また、均衡が全員にとって望ましいとも限らない。囚人のジレンマの均衡は、双方が協力する結果よりも双方にとって悪い。
よくある使われ方とのずれ
「均衡」という語から、望ましい状態や調和のとれた結果と読むと外れる。ナッシュ均衡は、各人が単独では動く理由がないという意味だけを持つ。原典とのずれ図鑑の「ナッシュ均衡は最善の結果」の項に、この読み違いを囚人のジレンマで確かめた記述がある。