原料・加工・淹れ方が、1杯の味にどう効くかを一望する。
コーヒーもお茶も、1杯の味は「原料」と「淹れ方」の2つの選択の積み重ねで決まります。原料の側でまず効くのは産地と品種です。コーヒーはエチオピアのような原産地の豆と、生産量で世界の3〜4割を占めるブラジルのような豆とで、香りの傾向がはっきり分かれます。同じ木から採れた実でも、精製方法(ウォッシュトとナチュラル)の違いだけで、繊細な酸か、果実のような重さかが変わります。ゲイシャのように品種そのものが香りの個性になる例もあります。お茶の側は、茶葉の摘み方と加工が種類を分けます。同じチャノキから、蒸して揉む煎茶、覆いをして育て低い湯温で淹れる玉露、火で焙じて香りを変えるほうじ茶、発酵を途中で止める烏龍茶まで、工程が違うだけで別の飲みものに見えるほど性格が変わります。
原料が決まったあとも、淹れ方の選び方で味は大きく動きます。粉に湯を注いで通すハンドドリップ、粉を湯に浸けて金属フィルターで濾すフレンチプレス、湯に浸けてから押し出すエアロプレス、圧力で短時間に濃く搾るエスプレッソ、熱を使わず水だけで時間をかける水出しコーヒー、湯を沸騰させて蒸気の力で吸い上げるサイフォン、器具が変われば、粉と湯が触れる時間・圧力・濾し方が変わり、同じ豆でも違う一杯になります。カリフォルニア大学デイビス校のチームは、濃さと抽出率をそろえたドリップでは、87〜93℃の湯温の差は官能評価にほとんど出なかったと報告しており、湯温そのものより、濃さと抽出の進み方のほうが味を左右すると分かります。お茶は逆に湯温の指定が細かく、京都府の宇治茶の公的な手引きは、煎茶は70〜80℃、玉露は40〜60℃と、同じ煎茶を淹れる手順でも茶の種類ごとに湯温を大きく変えるよう示しています。これは渋みの成分が高温ほど溶け出しやすいためです。
最初の1杯を決めるときは、産地や精製方法、茶の種類という「原料の選択」と、器具や湯温という「淹れ方の選択」を分けて考えると、変えた箇所と味の動き方の対応が見えやすくなります。
出典
- 論文・英語 Batali ME, Ristenpart WD, Guinard JX(2020) Brew temperature, at fixed brew strength and extraction, has little impact on the sensory profile of drip brew coffee
- 公的機関 宇治茶世界文化遺産登録推進プラットフォーム事務局(京都府農林水産部内) お茶のおいしい淹れ方
- 動画・英語 European Coffee Trip Coffee Brewing Methods: French Press vs Pour Over vs AeroPress and more!
- 動画・英語 HomeGrounds Coffee Cold Brew 101 | Everything You Need to Know
- 動画 UCC上島珈琲 公式チャンネル ペーパードリップでのおいしいコーヒーの淹れ方【UCC】
- 動画 UCC上島珈琲 公式チャンネル サイフォンでのおいしいコーヒーの淹れ方【UCC】















