酸味・苦み・甘み・香りを分けて感じる入口。
味の違いを言葉にする最初の一歩は、口に広がる感覚を酸味・コク(ボディ)・苦み・香りの4つの軸に分けて感じ取ることです。酸味と甘みのバランスが取れると心地よく感じられ、どちらかが強すぎると不快になりやすいとされます(James Hoffmann)。口当たりの軽さや重さを指す感触の軸と、味の輪郭がはっきりしているか濁っているかという澄み方の軸も、酸味や甘みとは別に見分けると、好みの一杯を言葉にしやすくなります(同)。
輪郭がはっきりした酸は明るい酸味と呼ばれ、レモンや青りんごを思わせる酸味です。りんご酸のような酸味は鋭くみずみずしい酸、クエン酸のような酸味は柑橘の果汁のように丸みのある酸と、酸の中でも質が分かれます。酸味と対になって口に重さを与えるのがコク(ボディ)で、味の種類ではなく、口に含んだときの重量感や粘性を指す言葉です。
苦みと渋みは混同されやすいものの、別の感覚です。苦みは味覚、渋みは口の中の粘膜が収れんする触覚です。茶では、茶葉を摘んだ直後から酸化が始まり、進むほどカテキンがテアフラビン・テアルビジンという別の成分に変わります(Nioteas TV)。未発酵の緑茶は青く草のような香りを残し、発酵の進んだ茶は焦げたキャラメルや煮た果実を思わせる香りに変わります(同)。酸化の進み方の違いは、お茶のカテキンの渋み・発酵に由来する酸味・キャラメルのような甘さ・お茶の青い香りに、それぞれ別の形で表れます。
香りは鼻に抜ける軸で、花のような香り(フローラル)・柑橘の香り・ナッツや穀物の香りのように、味とは別の言葉で覚えておくと区別しやすくなります。コーヒーの風味・香り・食感の属性を110種類に整理した語彙集は、酸味・苦み・花・ジャスミンなどの属性に参照物質を添えて区別を学べるようにしています(カンザス州立大学の官能評価センターが作成、World Coffee Research が公開)。
淹れ方の失敗で生まれる紙のような味・湯温が高すぎたときの雑味・古い豆の味(劣化・酸敗)も、同じ4つの軸の言葉と混同しないようにします。これらは原料や淹れ方のどこかに不具合がある印で、酸味や苦みの個性とは別に扱うと、同じ一杯からより多くの言葉を引き出せるようになります。
出典
- 資料・英語 World Coffee Research(カンザス州立大学 Sensory Analysis Center が作成) Sensory Lexicon
- 動画・英語 James Hoffmann What Does A Great Cup Of Coffee Taste Like?
- 動画・英語 Nioteas TV 6 Types of Tea - Different Tea Types Explained











