粉と湯、茶葉と湯の比率の決め方。
1杯の濃さは、粉や茶葉の量と湯の量の関係、つまり比率で決まります。最初に決めるのは比率で、挽き目・湯温・注ぎ方は後に回します。カリフォルニア大学デイビス校のチームは、粉を湯に浸して淹れる方式で、濃さは湯と粉の質量比にほぼ反比例し、抽出率は比率を広く変えても約21%でほぼ一定だったと報告しています。挽き目・焙煎度・80〜99℃の湯温は、濃さと比率の関係をほとんど動かしませんでした。浸して淹れる方式では、比率が最も効く数字になります。
比率は体積ではなく重さで決めます。メジャースプーンは手早く量れる反面、焙煎度や挽き目でかさが変わり、同じ1杯分でも重さが前回とずれます。0.1g単位のスケールに器を載せ、粉と湯の両方を量ると、粉量と湯量の比率を毎回そろえられます。基準にするのは、カップに落ちた量ではなく注いだ湯の総量です。封を開けた豆は保存容器(キャニスター)に移し、量るたびに同じ状態の豆を取り出せるようにします。
コーヒーの出発点は、粉1に対して湯16という比率です。粉20gに湯320gを使い、最初の50gを30秒の蒸らしにあて、200gまで注いで一度落とし、残りを注いで合計320gにする手順が紹介されています(Mirror Coffee Roasters)。ハンドドリップでは、落ち切りまで3分15秒ほどを目安にし、速すぎれば挽き目を細かく、遅すぎれば粗くします(同)。浸して淹れるときは、湯1Lあたり粉75g、つまり粉45gに湯600gという比率の例もあります(James Hoffmann)。
比率を動かすと、濃さだけでなく味の出方も変わります。デイビス校の別のチームは、浅・中・深の3つの焙煎度でドリップの濃さと抽出率を変えた9通りを記述分析し、30の特性のうち21が有意に変わり、甘みは焙煎度にかかわらず濃いほど弱かったと報告しています。好みは2つの集まりに分かれ、比率と抽出率を選ぶことで狙った味を設計できるとも整理されています(同校の抽出管理図の研究)。正しい1つの比率は無いため、濃いと感じたら湯を増やし、薄いと感じたら粉を増やし、1回に動かす数字は1つに絞ります。
茶は、湯に対して茶葉が多い比率で淹れます。煎茶は3人分で茶葉10g・湯180cc、1人分なら茶葉5g・湯60ccを70〜80℃で45秒から1分が目安です。玉露は3人分で茶葉10gに湯60〜70ccを40〜60℃で1〜2分と案内されています(宇治茶世界文化遺産登録推進プラットフォーム事務局)。紅茶は1人分でティースプーン1杯の茶葉2〜3gに湯150〜160mlを合わせ、沸騰直後の湯で2分半から4分です(日本紅茶協会。紅茶の普及を担う団体)。茶葉1に湯12ほどの煎茶、茶葉1に湯60ほどの紅茶と、同じ比率の言葉でも桁が違います。
最初につまずくのは、比率と別の数字を同時に動かすことです。薄いまま挽き目と湯温を一度に変えると、どちらが効いたのか分からなくなります。湯温の決め方や注ぎ方と湯の落とし方を試すのは、比率を1つ決めて2〜3杯淹れたあとです。茶も同じで、濃さに不満があるときは、茶葉の量より先に湯温と待つ時間のどちらか一方を動かします。
出典
- 論文・英語 Liang J, Chan KC, Ristenpart WD(2021) An equilibrium desorption model for the strength and extraction yield of full immersion brewed coffee
- 論文・英語 Frost SC, Ristenpart WD, Guinard JX(2020) Effects of brew strength, brew yield, and roast on the sensory quality of drip brewed coffee
- 論文・英語 Guinard JX, Frost S, Batali M, Cotter A, Lim LX, Ristenpart WD(2023) A new Coffee Brewing Control Chart relating sensory properties and consumer liking to brew strength, extraction yield, and brew ratio
- 公的機関 宇治茶世界文化遺産登録推進プラットフォーム事務局(京都府農林水産部内) お茶のおいしい淹れ方
- 資料 日本紅茶協会(紅茶の普及を担う団体) 紅茶のいれ方
- 動画・英語 Mirror Coffee Roasters How To Make Pour Over Coffee - SIMPLE V60 Brew Tutorial
- 動画・英語 James Hoffmann Brew your coffee with boiling water - coffee brewing temperatures explained.







