伽藍と塔図鑑

五重塔(塔と堂)

軒が五段に重なり、その上へ相輪が立つ塔です。上の重ほど平面が縮む逓減の度合いと、初層の軒下の組み方に、建てられた時代がそのまま残ります。五段の屋根が重なり、頂に相輪が立つ塔です。塔身は方三間が基本で、中心を礎石から立つ心柱が通ります。上の重は人が入ることを前提にしない造りで…

三重塔(塔と堂)

屋根が三段の塔で、現存する数はいちばん多い形です。段の数え違いが起きやすく、裳階が入ると四段にも六段にも見えるため、軒の出の深さで本体の重を分けます。三段の屋根と相輪を持つ塔で、平面は方三間が基本です。初層の内に本尊を据え、その上の二重は構造だけが積み上がって、心柱が中心を貫きます。兵庫県の一乗寺三重塔…

多宝塔(塔と堂)

下が四角く、上が円い二層の塔です。方三間の初重と、円形に柱を並べた上重を、亀腹と呼ぶ白い漆喰の丸みがつないでいます。方三間の初重の上に、円く柱を並べた上重を載せた二層の塔です。境目には亀腹と呼ぶ白い漆喰の饅頭形が回り、屋根は宝形造で頂に相輪が立ちます。滋賀県の石山寺多宝塔、和歌山県の金剛三昧院多宝塔…

金堂(塔と堂)

本尊を据える中心の堂を、飛鳥から平安に開かれた寺で呼ぶ名です。同じ役目の堂が本堂とも仏殿とも呼ばれるため、形ではなく寺の系統で呼び分けます。本尊を安置する伽藍の中心の堂で、飛鳥から平安に開かれた寺で使う呼び名です。奈良県の法隆寺金堂は重層に裳階が回り、同じ奈良県の唐招提寺金堂は前面の一間を吹放しにして列柱を見せ…

本堂(塔と堂)

仏を据える内陣の前に、人が座る外陣が付いた堂です。二つの場が一つの屋根に納まるのが中世以降の形で、外からでも柱間の並びと床の高さに現れます。仏を据える内陣と、人が座る外陣が一つの屋根に納まった堂です。中世以降に開かれた寺で中心の堂を指し、正面には参拝の場として向拝が張り出します。栃木県の鑁阿寺本堂、兵庫県の鶴林寺本堂…

仏殿(塔と堂)

禅宗寺院で本尊を安置する堂です。裳階が付いて二重に見えること、床が土間であること、柱の間にまで組物が詰むことが、外からの見分けになります。禅宗寺院で本尊を安置する中心の堂です。多くは一重の身舎の四周に裳階が回り、外からは二重の屋根に見えます。床は板敷ではなく土間で、瓦や磚を斜めに敷いた四半敷が入り…

法堂(塔と堂)

禅宗の伽藍で仏殿の後ろに建ち、住持が法を説く堂です。辞典は「他宗の講堂にあたる」と書き、講堂との取り違えはこの一行でほどけます。住持が法を説くための堂で、禅宗の伽藍では仏殿の後ろに置かれます。「他宗の講堂にあたる」(『精選版 日本国語大辞典』)とされ、本尊を安置する堂とは役目が分かれます。床は土間で…

阿弥陀堂(塔と堂)

阿弥陀如来を本尊とする堂です。方一間の母屋の四方に庇を回した一間四面堂が基本の形で、外から見ると方三間の小堂に宝形造の屋根が載ります。阿弥陀如来を本尊に据える堂です。基本は方一間の母屋の四方へ庇を回した一間四面堂で、外からは方三間、屋根は宝形造に見えます。福島県の願成寺阿弥陀堂、京都府の平等院鳳凰堂…

三門(塔と堂)

三解脱門を略した呼び名の門です。禅宗の伽藍では総門の内側、仏殿の手前に立ち、上層に仏像を安置する二重門になります。三解脱門を略した呼び名で、禅宗の伽藍では総門の内側、仏殿の手前に立ちます。上下二層それぞれに屋根を持つ二重門が多く、上層の内部に釈迦像や羅漢像を安置します。…

鐘楼(塔と堂)

梵鐘を吊るためだけに建つ建物です。腰まわりを板で覆う袴腰付きか、柱を見せた吹放ちかで見え方が変わり、そこに時代と宗派の傾向が出ます。梵鐘を吊ることだけを目的に建つ小さな建物です。四本または六本の柱で組み、内側の梁から鐘を下げ、上に入母屋造の屋根を載せます。奈良県の法隆寺東院鐘楼と東大寺鐘楼はどちらも国宝に指定され…

和様(様式(和様・禅宗様・大仏様))

大仏様と禅宗様が入る前からの造り方を指す名です。後の時代に付いた呼び方で、平安の工匠がこの語を使っていたわけではありません。大仏様と禅宗様が伝わる前からの造り方をまとめて指す名です。後の時代に付けられた呼び方で、平安の工匠がこの語を使っていたわけではありません。柱を長押で横につなぎ、床は板敷とし…

大仏様(様式(和様・禅宗様・大仏様))

焼けた東大寺の再建で、重源が持ち込んだ造り方です。柱を貫で何段も貫き、天井を張らずに小屋組を見せる、力の通り道がそのまま形に出ます。治承の兵火で焼けた東大寺の再建に、重源が入れた造り方です。柱を貫で何段も貫いて縦横に固め、肘木を柱へ直に挿す挿肘木で軒を受けます。天井を張らず、化粧屋根裏として小屋組をそのまま見せます。…

禅宗様(様式(和様・禅宗様・大仏様))

禅宗の寺とともに大陸から入った造り方です。柱の上だけでなく柱間にも組物を詰め、隅では垂木が放射状に開き、床は土間のままにします。鎌倉時代に禅宗の寺とともに伝わった造り方です。柱の上下を細める粽、足元に敷く礎盤、柱間まで組物を並べる詰組、隅で放射状に開く扇垂木、桟を組んだ桟唐戸、上が尖る花頭窓…

折衷様(様式(和様・禅宗様・大仏様))

和様の骨組みに、大仏様と禅宗様の手法を混ぜた造りです。どこまで混ざれば折衷様と呼ぶかは決まっておらず、数え方は書き手によって割れます。和様の骨組みへ、大仏様と禅宗様の手法を取り込んだ造りです。十三世紀後半から各地に広まり、貫で柱を固めながら長押も残し、桟唐戸や花頭窓を部分に入れます。混ぜ方に決まった型は無く…

花頭窓(様式(和様・禅宗様・大仏様))

上端が火炎のような曲線を描き、頂で尖る窓です。禅宗様とともに入りましたが、近世には仏堂にも天守にも付くため、これ一つで様式は決まりません。上端が火炎のような曲線を描き、頂で尖る輪郭を持つ窓です。左右の枠が内側へ湾曲し、中央で持ち上がります。禅宗様とともに鎌倉時代に入り、仏殿や三門の上層に並びました。…

懸造(様式(和様・禅宗様・大仏様))

崖や斜面に長い柱を立て、床を前へ持ち出す造りです。柱どうしを貫で縫って一体にし、平らな地面が足りない場所に堂の広さを確保します。崖や斜面に長さの違う柱を立て、床を前へ持ち出す造りです。柱どうしを貫で何段も縫って一体にし、その上へ堂を載せます。鳥取県の三仏寺奥院、京都府の清水寺本堂…

内陣と外陣(堂内で見るもの)

同じ堂の中が、仏の場と人の場に分かれています。境には格子や欄間が立ち、床の高さも天井の作りも内と外で変わるため、境目の一列を見つければ平面が読めます。仏を据える内陣と、人が座る外陣に分かれた平面を指します。古代の金堂には無い区分で、外陣は礼堂とも呼び、平安の中ごろから堂の正面側に加わりました。…

須弥壇(堂内で見るもの)

本尊を据えるために、床から一段高くした壇です。上へ厨子を載せる堂と、壇に直に安置する堂があり、壇の側面の作りそのものにも様式の別が出ます。本尊を安置するために一段高く設けた壇で、名は仏教の世界観にいう須弥山から出ています。上に厨子や宮殿を載せる堂と、壇上へ直に像を据える堂があります。…

来迎柱(堂内で見るもの)

須弥壇の後ろで、来迎壁の両端に立つ二本の円柱です。この二本があるかどうかで、内陣の奥行きの取り方が中世の本堂か古代の堂かに分かれます。須弥壇の背後に立てた来迎壁の、左右の端に立つ二本の円柱です(『デジタル大辞泉』)。壁はこの二本の間に張られ、その裏側が後戸の通路になります。二本の位置が須弥壇の奥行きを決めるため…

厨子(堂内で見るもの)

仏像や経巻を納める、屋根と扉を備えた箱形の造作です。組物まで小さく作り込むため、堂そのものの様式が縮んだ形で読める場合があります。本尊や経巻を納める箱形の造作で、屋根も組物も扉も備えた小さな建物として作られます。そのため厨子を見れば、堂で使われた細部の手法が縮んだ形で確かめられます。…

格天井(堂内で見るもの)

角材を井桁に組み、升目ごとに板を張った天井です。周囲を持ち上げる折上、升目をさらに細かく割る小組まで幅があり、格の高い堂や座敷に使われました。格縁と呼ぶ角材を井桁に組み、升目ごとに鏡板を張った天井です。平安以降の和様の仏堂と、書院造の座敷に広く使われました。周囲を一段持ち上げたものを折上格天井…

鏡天井(堂内で見るもの)

格縁も竿縁も見せず、板を平らに張った天井です。禅宗様の法堂や仏殿に多く、線の無い面が広がるので、そこへ雲龍図が描かれることがあります。格縁も竿縁も見せず、板を平らに張った天井で、禅宗様の建築に多く見られます(『デジタル大辞泉』)。周囲は曲面で壁や支輪につながり、中央が一枚の面として残るのが特徴です。…

化粧屋根裏(堂内で見るもの)

天井を張らず、垂木と桁をそのまま見せる仕上げです。構造の材の並びが意匠になるので、材の太さと間隔から時代と様式を読み取れます。天井を張らず、垂木や桁を見せたまま仕上げた屋根の裏です。見せるための面なので材の削りと間隔がそろえられ、構造がそのまま意匠になる点が板を張る天井と違います。…

四半敷(堂内で見るもの)

石や瓦を、壁の線に対して四十五度に振って敷いた床です。禅宗様の仏殿は板敷ではなく土間なので、入口から床を見るだけで様式の見当が付きます。方形の石や瓦を、縁に対して四十五度に振って敷いた床です(『精選版 日本国語大辞典』)。目地が壁と斜めに交わるため、正面から見ると菱形が並んで見えます。…