法堂
塔と堂
時代: 江戸
禅宗の伽藍で仏殿の後ろに建ち、住持が法を説く堂です。辞典は「他宗の講堂にあたる」と書き、講堂との取り違えはこの一行でほどけます。
どんな建物・部材か
住持が法を説くための堂で、禅宗の伽藍では仏殿の後ろに置かれます。「他宗の講堂にあたる」(『精選版 日本国語大辞典』)とされ、本尊を安置する堂とは役目が分かれます。床は土間で、正面には桟唐戸が並び、中央には説法のための壇が据わります。神奈川県の建長寺法堂、京都府の妙心寺法堂、福井県の永平寺法堂は、いずれも近世に建てられた堂として伝わります。
見分けの決め手
仏殿との前後の並びと、屋根の高さを比べます。法堂は仏殿の後ろに建ち、屋根が一段高く、間口も広く構えるものが多くあります。正面には桟唐戸が並び、床は土間のままで、須弥壇に本尊を大きく据える仏殿とは中の使い方が違います。神奈川県の建長寺では三門・仏殿・法堂が南から一直線に並ぶので、迷ったときは並び順で決まります。京都府の妙心寺でも同じ並びが保たれています。
どの様式に属するか
近世の再建が多く、禅宗様を基調にしながら和様の細部が交じります。見上げる先は板を一面に張った鏡天井で、そこに雲龍図を描く例が知られます。建物の年代と絵の年代は別に数えます。京都府の妙心寺法堂は明暦二年の建立で天井の絵も同じころの作と伝わりますが、神奈川県の建長寺法堂は文化十一年の建物に、平成に入って描かれた龍が載ります。
取り違えやすい相手
他宗の講堂と、前に建つ仏殿が相手です。役目が近くても、伽藍の型と呼び名が違います。講堂は奈良県の唐招提寺講堂のように古代の伽藍で金堂の後ろに置かれ、法堂は禅宗の伽藍で仏殿の後ろに置かれます。唐招提寺講堂は平城宮の建物を移して建てられた堂で、成り立ちからして別の系統です。並びの位置は似ていて、呼び名が宗派で分かれます。福井県の永平寺法堂も仏殿の後ろに建ちます。
どこに立つと見えるか
仏殿の脇を通って後ろへ回り、正面へ出てから見上げます。前から見ると仏殿に隠れ、屋根の高さの差も出ません。堂の中は外から見る場所が多く、天井の絵が見えるかどうかはその日の掲示によります。神奈川県の建長寺は境内が奥へ細長く、三門から法堂まで一本の道でつながるため、歩きながら並び順を確かめられます。京都府の妙心寺では塔頭の間の道から屋根が見えます。