須弥壇
堂内で見るもの
時代: 時代を通じて
本尊を据えるために、床から一段高くした壇です。上へ厨子を載せる堂と、壇に直に安置する堂があり、壇の側面の作りそのものにも様式の別が出ます。
どんな建物・部材か
本尊を安置するために一段高く設けた壇で、名は仏教の世界観にいう須弥山から出ています。上に厨子や宮殿を載せる堂と、壇上へ直に像を据える堂があります。岩手県の中尊寺金色堂には三つの壇が並び、それぞれの上に阿弥陀三尊などを安置します。京都府の平等院鳳凰堂では螺鈿で飾った壇に丈六の阿弥陀如来坐像が座り、壇と像と天蓋が一組で伝わります。壇の高さと幅は堂の内陣の広さに合わせて決まります。
見分けの決め手
壇の側面を、上の縁と中ほどと下の縁の三段に分けて見ます。和様の壇は上下に反花や框を回し、側面に格狭間と呼ぶ輪郭のくぼみが並びます。禅宗様では框が厚くなり、彫刻を伴う例が増えます。広島県の不動院金堂は禅宗様の仏殿の形を持つ堂で、細部の読み方をそのまま壇にも当てられます。漆や金箔は塗り直しで色が変わるため、色ではなく段の構成とくぼみの並びで読みます。
どの様式に属するか
壇にも和様・禅宗様・折衷様の別があり、堂の様式と必ずしも一致しません。堂は和様でも、後の代に入れ替えた壇が禅宗様ということが起こります。国指定文化財等データベースでは、建物の指定に「附」として須弥壇を挙げ、建物と一緒に守る書き方をとる例があります。指定説明の附の欄を読むと、その壇がいつのものとして扱われているかが分かります。壇だけで堂の建立の年は決まりません。
取り違えやすい相手
壇の前に置く前机や卓と、僧が座る礼盤が相手です。上に載るものが仏か人かで分かれます。前机は供物と香炉を置く机で、床に据えるだけの家具にあたります。礼盤は導師が座る一段高い座で、これも本尊の座ではありません。厨子は壇の上へ載る箱形の造作なので、下が壇、上が厨子という重なりで見ます。壇は幕や打敷で隠れることがあり、正面からは框の一段しか見えない堂もあります。
どこに立つと見えるか
外陣の入口に立ち、床のいちばん低い線から目を上げます。壇は像の足元にあたるため、近づくほど手前の框に隠れて見えなくなります。内陣と外陣の境より手前からのほうが、壇の全体は追えます。京都府の平等院鳳凰堂は中堂の扉に円い窓が開き、池をへだてた正面から像と壇の高さの関係が望めます。堂の中で記録を残す方法は寺ごとに決まりがあり、掲示を先に読みます。