折衷様
様式(和様・禅宗様・大仏様)
時代: 鎌倉
和様の骨組みに、大仏様と禅宗様の手法を混ぜた造りです。どこまで混ざれば折衷様と呼ぶかは決まっておらず、数え方は書き手によって割れます。
どんな建物・部材か
和様の骨組みへ、大仏様と禅宗様の手法を取り込んだ造りです。十三世紀後半から各地に広まり、貫で柱を固めながら長押も残し、桟唐戸や花頭窓を部分に入れます。混ぜ方に決まった型は無く、組み合わせは建物ごとに違います。兵庫県の鶴林寺本堂、広島県の明王院本堂、愛媛県の太山寺本堂が国宝として国指定文化財等データベースに載り、いずれも遠目には和様に見え、細部に別の様式が交じります。
見分けの決め手
長押と貫の両方が通っているかを、正面の柱で確かめます。和様だけなら長押が主になり、大仏様や禅宗様だけなら貫が主になります。折衷様は両方が並びます。次は開口です。板扉と連子窓の隣に桟唐戸や花頭窓が混じるなら、混ざっていると読めます。正面を見てから側面へ回ると、面ごとに混ざり方の違う建物もあります。愛媛県の太山寺本堂では、その差が軒下と扉口に出ます。
どの様式に属するか
呼び名そのものが、まだ定まっていません。大仏様の要素だけを加えたものを「新和様」として分ける立場があり、「観心寺様」という呼び方にも異論があります。国指定文化財等データベースの指定説明は形式と規模を記すのが基本で、様式の名を書かない例が多く、折衷様に数えるかどうかは解説の書き手の判断に委ねられます。大阪府の観心寺金堂は、この呼び分けでくり返し取り上げられる建物です。
取り違えやすい相手
和様そのものと、禅宗様の堂が相手です。混ざった細部が一つか、複数かを数えます。一つだけなら和様の建物に部材が入ったと見る書き手が多く、複数が並んで初めて折衷様と呼ばれます。広島県の明王院本堂は貫と桟唐戸を持ちながら骨組みは和様で、数え方によって和様にも折衷様にも入ります。指定説明に様式の名が無いときは、部材を自分で数えるほかありません。境目に線が引かれていないことが、この語の性質です。
どこに立つと見えるか
正面に立って柱を一本、上から下まで追い、長押と貫の段を数えます。斜めからでは前後が重なり、段を追えません。兵庫県の鶴林寺本堂は前が開けており、柱の並びと軒下が同時に入ります。次に扉口へ寄り、桟唐戸の桟の割り方を見ます。愛媛県の太山寺本堂は山中の平場に建ち、光が回り込む時間に側面へ移ると、長押と別の様式の細部が同じ面に並ぶ様子が見えます。