鏡天井
堂内で見るもの
時代: 鎌倉
格縁も竿縁も見せず、板を平らに張った天井です。禅宗様の法堂や仏殿に多く、線の無い面が広がるので、そこへ雲龍図が描かれることがあります。
どんな建物・部材か
格縁も竿縁も見せず、板を平らに張った天井で、禅宗様の建築に多く見られます(『デジタル大辞泉』)。周囲は曲面で壁や支輪につながり、中央が一枚の面として残るのが特徴です。線が無い分だけ絵を描く場がそこにでき、京都府の妙心寺法堂や神奈川県の建長寺法堂のように、法堂の中央へ雲龍図が入る例が知られます。山口県の功山寺仏殿も同じ系統の遺構です。
見分けの決め手
天井の中央に線が走っていないかどうかを、まず確かめます。格縁の井桁が見えれば格天井、細い棒が一方向に走れば竿縁天井で、そのいずれでもない一枚の面が鏡天井です。周囲の曲面もあわせて見ると分かりやすく、壁との境が丸く回り込む作りが多くなります。絵の有無は決め手になりません。無地のまま残る鏡天井もあり、絵は後の代に描かれた例が目立ちます。
どの様式に属するか
禅宗様に属します。詰組や扇垂木、粽といった細部と一組で入ってきた作りで、山口県の功山寺仏殿は元応2年(1320年)の墨書が知られる遺構です。神奈川県の円覚寺舎利殿も同じ系統の細部を備えます。和様の堂に鏡天井が入る場合は、後の改めを疑う手掛かりになりますが、和様と交ぜる度合いは建物ごとに違い、堂の一部だけが禅宗様という例もあります。
取り違えやすい相手
格天井と、天井そのものを張らない化粧屋根裏が相手です。線が縦横に走るか、細い材が斜めに並ぶかで分かれます。化粧屋根裏では垂木が平行に並び、その奥に桁が横切ります。鏡天井は面で、線が出ません。暗い堂では平らな板と傾いた屋根裏の区別が付きにくく、光の当たる縁の側から順に目を送ります。奈良県の東大寺南大門は、屋根裏の見える側の分かりやすい例です。
どこに立つと見えるか
堂の外の階段の下から、開いた扉ごしに中央の面を探します。法堂の雲龍図は真下より少し離れた位置のほうが全体が入り、近づくほど手前の梁に切られます。堂に入れる範囲と時期は寺ごとに違うので、見られる前提で予定を組まないほうが確かです。京都府の妙心寺法堂の雲龍図は狩野探幽の筆で、完成までに8年かかったと伝わります。堂そのものは明暦3年(1657年)の再建です。