ジャンル別の歌い方図鑑
J-POP(日本のポップス)
いまカラオケで最も多く歌われる日本の流行歌。1990年代あたりから今の曲までをざっくり束ねた呼び方で、サビが一番高くて一番強い作りが土台にあります。低いAメロ、持ち上げるBメロ、開くサビという三段構えの曲が多く、4〜5分のうちに同じサビが二度三度戻ってきます。言葉数は年々増えていて…
昭和歌謡(日本のポップス)
歌番組の時代に生まれた、言葉の見える大衆歌。テレビの歌番組が中心だったころの大衆歌で、歌詞が最後まで聞き取れることを前提に作られています。テンポはゆっくりめ、音の詰め込みは少なく、そのぶん伸ばしと語尾の処理が全部見えます。伴奏は生の楽器を模した音が厚く、声の高さより太さが問われる曲が多く残っています。
アイドルソング(日本のポップス)
覚えやすい旋律と掛け声で場が動く曲。歌い手の姿を見せることが前提の曲で、旋律は覚えやすく素直です。音域は広くとらず、同じ形が何度も戻るので、初めて聴いた人でも二番から口ずさめます。いっぽうテンポは速めで、1分間に150拍前後まで上がる曲もあり、合いの手や掛け声が最初から曲の一部として組み込まれています。
シティポップ(日本のポップス)
和音の凝った、都会の空気を描く歌もの。都会の景色を描いた歌もので、和音が一小節ごとに滑るように動くのが特徴です。旋律そのものは派手に上下しないのに、下の和音が変わると景色の色が変わります。拍は前に突っ込まずわずかに後ろへ置く歌い方が前提で、伴奏に隙間が多いぶん、声の細かい癖まで聞こえます。
ロック(激しい曲)
バンドの音圧に負けない声で押す曲。バンドの音が厚く、その上に声を乗せるジャンルで、音圧に負けない押しが要ります。旋律の形は難しくないのに、原曲の歌い手が張った声で通しているぶん、同じやり方をなぞると喉から先に消耗します。テンポは速め、拍の頭がはっきりしていて、言葉は短く切って置かれます。
ラウド・スクリーム系(激しい曲)
叫び声を技術として組み込んだ激しい曲。叫び声を表現として組み込んだ曲で、歪んだ声と普通の声を行き来する作りになっています。歪みは喉を潰して作るものではなく、声帯より上の部分を鳴らして出すとされます。ただ独学で当てるのは難しく、喉を痛めずに扱えるようになるまで数か月から年単位かかる人もいます。
ラップ(激しい曲)
音程より言葉とリズムで進む歌い方。旋律より言葉とリズムで進む歌い方で、音程がほとんど動かない区間が長く続きます。拍の中に音節をどう置くかがすべてで、同じ歌詞でも置き方しだいで別物になります。速い曲では1秒に5〜7音節流れることもあり、息を吸う場所は画面に出ないので自分で決めることになります。
バラード(しっとり歌う)
ゆっくり歌い上げる、ごまかしの効かない曲。テンポは60〜80ほどとゆっくりで、一つの音を2〜4秒伸ばす場所が何度も出てきます。伴奏が薄いぶん声がむき出しのまま届くので、音程のずれも息の音も隠れません。静かに始めてサビの最高音へ届く組み立てが多く、どこで力を使うかを先に決める曲です。間奏は長めに取られていることが多く…
演歌(しっとり歌う)
こぶしと母音の伸ばしで聴かせる日本の歌唱。半音の少ない音階の旋律が中心で、一音の中で声を細かく揺らす装飾が曲の骨格そのものになっています。伸ばした母音を1〜3秒かけて上下させるため、真っすぐ歌うと別の曲に聞こえるほどです。語尾の消し方まで含めて型のある歌い方で、同じ旋律でも歌い手ごとに装飾の入れ方が違います。
ジャズ・スタンダード(しっとり歌う)
ゆらぎと余白で聴かせる、譜面から離れる歌。同じ曲を人ごとに違う形で歌うことが前提の音楽です。伴奏は四分音符を素直に刻まず、拍の裏に重心が置かれます。歌い出す位置も伸ばす長さも演奏のたびに変わり、譜面は骨組みにすぎないという考え方が土台にあります。通信カラオケでは、そのうちの一例をなぞる形になり…
童謡・唱歌(しっとり歌う)
音域が狭く、言葉がはっきり届く古い歌。音域が1オクターブ前後に収まり、跳ぶ音の少ない旋律が中心です。一つの音に一文字を当てる作りなので歌詞が聞き取りやすく、尺も2〜3分と短めのものがほとんどです。世代をまたいで知られている曲が多いため、世代の違う相手と歌うときに共通の一曲になりやすい強みもあります。…
アニメソング(サブカルチャー)
速い言葉と高い音が同居する、忙しい曲。映像に合わせたおよそ90秒の尺を前提に作られた曲が多く、その短さの中に転調やテンポの変化が詰め込まれます。サビの最高音が原曲キーで高いのも特徴で、間奏が短く休む場所がありません。フル尺で歌うと同じ構成をもう一周することになり、新しい曲ほど言葉数が多い傾向もあります。
ボーカロイド曲(サブカルチャー)
合成音声を前提に書かれた、人に厳しい曲。息継ぎを必要としない歌声合成に向けて書かれたため、人の息が続かない長さの歌詞が平気で続きます。テンポ160〜200の速さで十六分音符に言葉を詰め、音の跳躍も大きめです。合成音の得意な高い音域が基準なので原曲キーは女性にとっても高いことがあり…
ゲーム音楽(サブカルチャー)
演奏が主役の旋律に、歌が乗っている曲。主題歌として作られた曲と、器楽曲に後から歌詞が付いた曲の二種類があります。後者は声のために書かれていない旋律なので跳躍が大きく、息の逃げ場がありません。場面転換のための転調が残っていることも多く、構成が読みにくいのが共通の特徴です。歌が入るのは後半だけという作りもあります。
特撮ソング(サブカルチャー)
掛け声と決めが効く、勢いで押していく歌。音域が狭く跳躍も少ない旋律に、合いの手や掛け声が組み込まれた作りです。子どもが一緒に歌える前提の曲が多く、速さもテンポ130〜160と行進しやすい範囲に収まります。歌詞は繰り返しが多いので一度覚えると思い出しやすい構造で…
洋楽ポップス(世界の曲)
発音より、言葉の乗り方が日本語と違う歌。英語は一拍に複数の音節を詰める言語なので、一音一文字の日本語とは乗り方が根本から違います。強く読む音節が拍の頭に来て、弱い音節はその前後へ流し込まれます。子音で終わる語が多く、語尾に短い無音ができるのも差です。日本語に置き換えて考えないほうが…
K-POP(世界の曲)
歌とラップが交互に来る、動きの多い曲。一曲の中で歌う人が何度も入れ替わる構成が基本で、独唱とラップと全員の部分が短く切り替わります。日本語の版と原語の版が両方収録されていることもあり、同じ曲でも言葉の詰め方が違います。低音から高音まで一曲で使うため音域の幅も広く、振り付けごと覚えている人には歌だけが別物に聞こえます。
ミュージカルナンバー(世界の曲)
せりふの続きとして歌う、物語のある曲。登場人物の言葉として書かれた歌なので、場面の途中から始まり途中で終わる曲がよくあります。語るような低い部分から張り上げる最後まで振れ幅が大きく、テンポも曲の中で変わります。伴奏は舞台の演奏を縮めた形で休む場所が限られ、一人で歌う曲と掛け合いの曲の両方があります。