童謡・唱歌

しっとり歌う

音域が狭く、言葉がはっきり届く古い歌

どんなジャンル?

音域が1オクターブ前後に収まり、跳ぶ音の少ない旋律が中心です。一つの音に一文字を当てる作りなので歌詞が聞き取りやすく、尺も2〜3分と短めのものがほとんどです。世代をまたいで知られている曲が多いため、世代の違う相手と歌うときに共通の一曲になりやすい強みもあります。一番だけで終えても曲として不自然になりません。

歌い方のポイント

難所が少ないぶん、母音の形をそろえるだけで印象が変わります。アで指2本が縦に入るくらい口を開け、母音の統一の要領で他の母音も同じ奥行きに置きます。語頭の子音をわずかに早く出し、拍の頭に母音が乗るようにすると言葉が前に届きます。声量は張らなくてよく、話すときの大きさでも十分に伝わります。

選ぶときの目安

声を張らずに歌いたい日や、子どもや年配の家族と同席するときに向きます。歌詞が古い言い回しの曲は意味を知らないと表情が付かないので、知らない語を一つ調べるだけで歌が変わります。原曲キーが低すぎると感じたら、上げても違和感が出にくいジャンルでもあります。季節を題材にした曲が多く、その時期に合わせると座がなごみます。

つまずくところ

簡単そうに見えて息継ぎの場所が決まっている曲が多く、途中で吸うと言葉がちぎれて意味が切れます。ブレスの位置は句読点に合わせてください。まじめに歌い込みすぎても持ち味が消えるので、語尾を軽く止める程度で十分に伝わります。一曲が短く物足りなく感じるときは、二曲続けて入れておくと流れが作れます。

解説動画: 【合唱曲】花 / 滝廉太郎 プロが教える歌唱のコツ【女声(ソプラノ・アルト)・男声(テノール・バス)】/よしみっくランド【おとれん】

古い言葉は先に訳す: 昔の言い回しで書かれた歌は、先に今の言葉へ訳してから歌い方を決めます。何を見て、何に感動している場面かが分かると、当てる声が選べるからです。この曲は穏やかな情景をたたえる歌なので、はしゃいだ明るさではなく穏やかで優しい音色。そのうえで息を少し流しながら歌わないと、感情は何も伝わらないと念を押しています。

一拍ごとに円を描く: 4分の2拍子の曲で、一拍ずつ円を描くつもりで歌うと雰囲気が出ます。上がる旋律は勢いを付けて上へ。低いほうのパートは音が下がる箇所でそのまま落とすと暗くなってしまうので、音は下りても円は上へ向ける気持ちで歌います。楽譜では符の棒が上向きなら上のパート、下向きなら下のパートです。

付点のあるなしを分ける: この曲は付点のリズムが入っていて、それが軽やかさを生んでいます。作った人が意図して置いたものなので、付点の付く箇所と付かない箇所は必ず区別します。言葉のつながりにつられて区切りを変えると誤りになる箇所もあります。細かい音の並びは長く流さず、少し弾ませるように置くときれいに聞こえます。

高い「い」は「あ」の口で: 「い」は横に開く母音で顎に力が入りやすく、高い音では響きが硬くなったり音が下がりやすい。対策は口はほぼ「あ」の形にして、頭の中だけで「い」を思うこと。上顎を使って音を出すつもりで向かうと、息がすっと抜けます。跳び上がる音は、前の音を出した直後に早めへ準備しておくと当てやすくなります。

弱くても遠くへ届ける: 弱く歌う指定でもぼそぼそ歌わない。遠くを見渡している場面なので、遠くへ向けて柔らかく小さく歌います。強く歌い出す場面は息をしっかり吐いてから。終わりは音が下がっていくので、そのまま歌うとしぼんで聞こえます。むしろ押し出すつもりで歌い上げて終わるのがよい、と締めています。