ジャズ・スタンダード
しっとり歌う
ゆらぎと余白で聴かせる、譜面から離れる歌
どんなジャンル?
同じ曲を人ごとに違う形で歌うことが前提の音楽です。伴奏は四分音符を素直に刻まず、拍の裏に重心が置かれます。歌い出す位置も伸ばす長さも演奏のたびに変わり、譜面は骨組みにすぎないという考え方が土台にあります。通信カラオケでは、そのうちの一例をなぞる形になり、前奏の長さも版によって変わります。
歌い方のポイント
拍の頭に飛びつかず、わずかに遅れて入るのが第一歩です。二拍目と四拍目で指を鳴らしながら歌うと体で分かり、裏拍の取り方の感覚がそのまま使えます。声は張らずふだんの6割の音量で話すように置き、伸ばす音は揺らさず真っすぐのほうが大人びて響きます。息は多めに残し、語尾を吐き切らずに止めると余白が生まれます。
選ぶときの目安
低めで落ち着いた声の人に向きます。音域は広くない曲が多い一方で、旋律に半音でぶつかる音が混じるため、半音の聞き分けが苦手だと途中で迷子になります。同じ曲を複数の歌手で聴き比べ、手本を一つに決めてから入ると崩し方がぶれません。古い録音は伴奏の音色も違うので、耳が慣れるまで数回は聴いておくと安心です。
つまずくところ
選んだつもりが演奏だけの版で、歌の入りが分からなくなることがあります。ガイドメロディを薄く残しておくと安全です。崩しは自由に見えて戻る場所は決まっているので、拍を見失っても次の小節の頭で合流すれば立て直せます。数え直すより、伴奏の低音を聴くほうが早く戻れることも覚えておいてください。
解説動画: 🔴Swing 練習法〜All Of Me〜Popsの歌い方との違いって⁉️/♪ダイナ‘s Happy Singin' チャンネル
ポップスの歌い方と言われる: セッションやバンドで歌うと演奏側からそれはジャズじゃないと言われる、という悩みが中級者以上に多いところから話が始まる。思い浮かべるジャズ像は人によってばらばら(薄暗い店の雰囲気、みんなで踊る明るいもの、ビッグバンド)だが、共通するのはスイング。講師はふわっと揺れるリズムのものを外し、スイングのリズムを持つものだけをジャズと定義している。
ベースの動きを追う: 多くの人はドラムの音でスイングを取るが、講師がサウンドの核と呼ぶのはベースライン。ピアノやギターはコードを部分的にしか鳴らさないのに対し、ベースはずっと鳴り続けている。ベースを追えればコード進行が分かり、セッション中に今どこかを見失わずに済む。練習は伴奏をベースだけにして口真似するところからで、音の高さは外れてよい。
練習用の伴奏を持つ: 生演奏に触れるのが一番だが、機会が無い人には伴奏アプリを勧める。数千曲入って2000円ほど、キー・テンポ・リズムも楽器ごとの音量バランスも変えられ、イントロ用に8小節貼り付けるといった編集もできる。まず小節表示を見ながら歌い、耳が慣れたら画面を見ずに音だけで追う段階へ進む。
詰め込まずに休符を置く: 休符を入れるのが怖くて音を詰め込み、結果としてリズムに飲まれてしまう人が多いと指摘する。講師は冒頭でその一節をわざと休符だらけにして歌ってみせ、詰めずに間を置いた形を耳で示す。アドリブというと音の高さの話だと思われがちだが、その前に手を付けるのはここだという順番になっている。
耳コピだけでは形が残らない: ジャズはお手本の音源そのものが既にアドリブなので、耳コピで覚えると元のメロディーを知らないまま、崩した版を自分の基本にしてしまう。まず譜面で基本のメロディーの高さを学ぶ。ただし譜面通りだと不自然になる箇所があるので、基本のシンコペーションも体に入れる。意味を担う動詞が短い音符に当たると、日本語話者はそこを潰しがちだとも言う。