パン作り
つくる・育てる
焼き上がりの十分前から、家じゅうが匂う
どんな趣味?
粉と水、塩、酵母を混ぜてこね、時間を置いて膨らませ、成形してもう一度置き、焼きます。手を動かすのは合わせて30分ほどで、残りはすべて待つ時間です。生地は温度と湿度で膨らみ方が変わるため、同じ分量でも季節ごとに顔が違います。焼き立ての一切れは店では買えない状態のもので、その日の家の空気ごと変わります。
始めるのに要るもの
強力粉一キロが400円前後、ドライイーストが300円ほど、あとは塩と砂糖、油で足ります。2,000円以内で何回ぶんも焼けます。型もこね台も要らず、ボウルと天板だけで始められます。オーブンが家にないなら、フライパンで焼く平たいパンや、蒸してつくる生地から入ると、機械を買わずに試せます。
最初の一歩
今週末はスーパーの製菓材料の棚へ行き、強力粉とドライイーストを買ってください。粉250グラムで作る、こね時間の短いレシピを一つ選び、朝に仕込んで昼に焼きます。膨らみが足りなくても食べられるので、失敗が損になりません。一度に何時間も拘束されないレシピから始めると、週末2時間から始める形に収まります。
続けるとどうなるか
三回焼くと、こね不足と発酵不足の違いが手で分かってきます。そこから粉の種類を変え、自分で起こした酵母で焼く方向や、成形に凝る方向へ分かれます。焼く量が増えると自然に人へ配るようになり、家の中の役割が一つ増えます。粉と水と時間の組み合わせを追う点で発酵・自家製調味料と地続きで、そのままお菓子作りへ流れる人も多い分野です。
向き不向き・注意
焼いたぶんは自分が食べることになり、体重に直結します。量を作る趣味との相性は考えたほうがよいです。待ち時間が生活を縛るのも実際で、発酵の一時間ごとに家にいる必要があります。粉は台所に飛び、片づけまで含めると半日仕事です。家庭用のオーブンは表示どおりの温度が出ないことが多く、上を目指すと機材の買い替えへ向かいます。
解説動画: 水分量に合わせてこね方を変えるパン生地の作り方/完全感覚ベイカー:独学でパン作りに挑む人へ
概要: 同じ配合で水分量だけを60%・65%・70%に変えた3つの生地を作り、それぞれこね方をどう変えるかを実演している。「2時間こねてもまとまらない」という声に対して、こねる時間よりも生地の状態に合わせてこね方を変えることが効くという立場。こね上がりの見極め方とバターを入れる順番もあわせて扱う。
手順: 生地を重ねて上から押す動きでグルテンがつながり、その網目に酵母の出したガスが閉じ込められて生地が膨らむ。最初はどんな生地でも手に付くが、続けるうちに大きい生地の側へ引き込まれてまとまってくる。台に付かなくなってきたら生地同士がつながった合図。薄い膜が張るようになってからバターを加えると、その膜に乗るように馴染んで生地が伸びやすくなる。
生地別のこね方: 水分の少ない硬めの生地は、遠くまで伸ばすとちぎれるのでコンパクトに折って体重をかける。まとまってきたら手で包んで台にこすりつける転がしごねに切り替え、摩擦でつながりを壊さず強くする。水分が多い生地は力を入れるとすぐ切れるため、手をフック状にして手首のスナップで軽く叩きつける叩きごねを使う。手ごねでできるのは70%前後までとしている。
コツ: こね上がりの目安は2つで、表面のぼつぼつがつるりとしてくることと、生地を伸ばしたときに薄い膜が張ること。膜がすぐ切れるならまだこね足りない。台にべたつく生地はカードでこまめに集め、台を掃除しながら進める。こね上げてから10分ほど休ませると、同じ生地でもむらのないきれいな膜が張るので、判断に迷ったら休ませてから確かめるとよいという。
やりがちなミス: まとまった後にさらに力任せにこねると、生地が荒れてグルテンのつながりを壊してしまう。水分は少ないほどこねやすいわけでもなく、少なすぎても多すぎてもつながりにくいと説明する。生地が台じゅうに広がって薄く伸ばしているだけの状態も効率が悪いので、その都度カードで一か所に集め直す。バターの多い生地は温度を上げすぎない。