広まっている見え方図鑑
星雲は写真のように赤く見える(写真との落差)
暗い場所の目は、色を見分ける細胞がほとんど休んでいます。写真の赤は水素の輝線を積み上げた色で、同じ光を目で受けても灰色から淡く緑がかったしみにとどまります。公開画像や写真集に載る星雲は、赤やピンクの雲が渦を巻き、内側の青い光まで写っています。干潟星雲や三裂星雲の名を星図でたどり、空の暗い場所へ出て双眼鏡を向ければ…
天の川は写真のように空を横切る(写真との落差)
街明かりの下では、天の川は帯そのものが浮かびません。日本天文学会「天文学辞典」が挙げる条件は月のない暗い晩で、そこで目に届くのは色のない淡い光の帯です。夏の夜空を撮った写真には、青と赤と金の混じった帯が地平から地平へ渡り、粒立った星と黒い筋まで写っています。あの帯は見上げれば同じ姿で広がっているものとして受け取られ…
銀河は渦を巻いた姿で見える(写真との落差)
渦の腕は、目にも双眼鏡にも出てきません。長時間露光は広い面に薄く散った光を積み上げますが、そこに残るのは中心のふくらみだけの淡いしみです。教科書の図版も報道に出る画像も、銀河は渦を巻いた円盤の姿で載ります。子持ち銀河のように腕の巻き方まで刷り込まれたうえで空へ向かうため…
流れ星は写真のように次々に流れる(写真との落差)
一枚に何十本も走る流星の写真は、重ね合わせです。数時間ぶんのコマから流星の写ったものだけを選び、位置を合わせて同じ星空に重ねて作ります。流星群の記事に載る写真では、放射点から何十本もの光跡が四方へ伸びています。ペルセウス座流星群のような大きな群では見上げれば同じ密度で流れているという受け取りにつながり…
星は写真のように色とりどりに見える(写真との落差)
肉眼では、ほとんどの星が白い点に見えます。色まで読めるのは明るい星に限られ、赤みや青白さを追えるのは一等星の前後に並ぶ少数です。星景写真では赤・橙・青白の粒が散らばり、星ごとの色の違いがはっきり分かります。オリオン座の三つ星のまわりを撮った作例がよく知られ、同じ空を見上げれば同じ色が並ぶという受け取りにつながります。…
流星群は一時間に何十個も流れる(天文の言い回し)
1時間に何個という数は、理想の空を置いた見積もりです。放射点が天頂にあり、空の限界等級が6.5等という条件にそろえたときの値で、実際の夜空とは別ものです。極大の近い流星群には「1時間に何十個」という数が付いて回り、記事の見出しにもその数字が並びます。ペルセウス座流星群の頃は特によく目にするため…
大接近なら火星は大きく見える(天文の言い回し)
大接近でも、火星は肉眼では点のままです。見かけの直径は最大でも24秒角ほどで、目が二つの点を分けられる限界のおよそ1分角に届きません。「大接近」という言葉が並ぶと、空に赤い円盤が浮かぶ姿が想像されます。距離が半分近くまで縮むのは事実で、見かけの大きさが倍ほどになるとも伝えられるため…
新星は新しく生まれた星(天文の言い回し)
新星は、生まれた星ではありません。古い星の表面で起きる爆発で、何も無かったところに星が増えたように見えたことから、その呼び名だけが残りました。「新星が現れた」という知らせは、星が新しく誕生したという意味に受け取られます。名前の字面がそのまま説明として通るため…
星座は星を結んだ線の形(天文の言い回し)
星座は、空に区切られた区画のことです。国際天文学連合(IAU)が1928年に承認した境界線が範囲を決めており、星をつなぐ線のほうは本や国によって違います。夜空の図には星と星を結ぶ線が引かれ、その形の全体が星座として示されます。オリオン座の三つ星やカシオペヤ座のWのように、線の形と名前が一組で覚えられるため…
ほうき星は空を流れていく(天文の言い回し)
ほうき星は、視野を横切って流れません。一晩のあいだは星と同じようにゆっくり動くだけで、目に映るのは位置の変わらない淡いしみです。「ほうき星が流れる」という言い方は広く使われ、流れ星と同じ動きで空を走る姿が思い浮かびます。明るい彗星の接近が伝えられると、見上げれば長い尾を引いた光が横切るという受け取りにつながり…
スーパームーンは特別に大きい満月(商業と俗説)
スーパームーンは、天文学の用語ではありません。国立天文台のよくある質問も定義がはっきりしないと述べており、大きさの差は並べて比べないと分かりにくいものです。スーパームーンという言葉が並ぶ晩は、ひときわ大きく明るい満月が上がる日として伝えられます。建物と重ねて撮った巨大な月が添えられることも多く…
ブルームーンは青く見える月(商業と俗説)
ブルームーンでも、月は青くなりません。ひと月に二度目の満月を指す言い方で、色とは関わりがなく、呼び名そのものが雑誌の読み違いから広まりました。ブルームーンという言葉には、青みを帯びた月が空に上がるという絵が付いて回ります。名前がそのまま色の説明として読めるため、ひと月に満月が二度ある月を待って…
星の名前は買って登録できる(商業と俗説)
星の名前を売る権利は、どの会社も持っていません。国際天文学連合(IAU)は、商業サービスの付けた名前に公式の効力がないと明言しています。記念日の贈り物として、好きな星に名前を付けて登録できるというサービスが知られています。はくちょう座やオリオン座など名の通った区画から選ぶ形が多く…
北極星はいちばん明るい星(商業と俗説)
北極星は、いちばん明るい星ではありません。こぐま座のα星は2等星で、全天では明るいほうからおよそ50番目前後にとどまります。北極星という呼び名は特別な星の響きを持ち、空でいちばん明るい星を探せば見つかるという手順が語られます。方角を知る星として教わる場面が多く、星座早見盤でも北の中心に置かれるぶん…