ほうき星は空を流れていく
天文の言い回し
ほうき星は、視野を横切って流れません。一晩のあいだは星と同じようにゆっくり動くだけで、目に映るのは位置の変わらない淡いしみです。
言われていること
「ほうき星が流れる」という言い方は広く使われ、流れ星と同じ動きで空を走る姿が思い浮かびます。明るい彗星の接近が伝えられると、見上げれば長い尾を引いた光が横切るという受け取りにつながり、数分あおいで何も動かないと、見のがしたと考えて切り上げることになります。流れ星は写真のように次々に流れるで扱う光跡の絵も、その速さの見当を強めます。
目には実際どう見えるか
目に映るのは、位置の変わらない淡いしみです。動きは星と同じで、一晩のあいだは昇って沈むぶんだけ。星々の間での移動は日をまたいで初めて分かる速さなので、同じ時刻に同じ空を見比べて位置のずれを追います。尾は街の空では芯のぼんやりした光だけに痩せ、空の暗い場所でそらし目に切り替えて、ようやく広がりの向きが分かる程度です。
どこから広まったか
混同のもとは、呼び名の近さにあります。日本天文学会「天文学辞典」は彗星を「太陽系の内側でガスやダスト(塵)を放出する氷天体。ほうき星とも呼ばれる」と説明しており、ほうき星と流れ星は字面が近いぶん、どちらも一瞬の光として束ねられます。写真の長く伸びた尾も数分から数十分の露光を積み上げたもので、ペルセウス座流星群の光跡と並べて載ると、同じ速さで走るものとして読まれます。
何なら本当か
尾を引いた姿が空に出ること自体は本当です。明るい回なら肉眼でも位置が分かり、双眼鏡では芯の周りの広がりまで追えます。ただし明るくなるかどうかは近づいてみないと分からず、予報の等級から外れる回のほうが多いのが実情です。日ごとの位置と明るさは国立天文台「ほしぞら情報」が伝えているので、そこで現在地を確かめてから空へ向かう手順になります。