天の川は写真のように空を横切る
写真との落差
街明かりの下では、天の川は帯そのものが浮かびません。日本天文学会「天文学辞典」が挙げる条件は月のない暗い晩で、そこで目に届くのは色のない淡い光の帯です。
言われていること
夏の夜空を撮った写真には、青と赤と金の混じった帯が地平から地平へ渡り、粒立った星と黒い筋まで写っています。あの帯は見上げれば同じ姿で広がっているものとして受け取られ、いて座の方向を探しても分からないという戸惑いにつながります。同じ夜の写真と目の記憶が並べられる機会は少なく、帯が浮かぶ空の条件は写真の脇に書き添えられないままになりがちです。
目には実際どう見えるか
日本天文学会「天文学辞典」は天の川を「月のない暗い晩に肉眼で見ると、夜空を大きく横切るように見える淡く輝く帯状の天体」と書いています。月と街明かりの両方が引いた空で、色の無い、たなびく雲のような淡い光として現れます。暗順応が進むまでは縁の位置も分からず、市街地では帯そのものが浮かばず、はくちょう座の明るい星の並びだけが残ります。
どこから広まったか
写真の帯は数十秒から数分の露光を重ね、彩度と階調を持ち上げた結果です。目が一度に受け取れるのはその瞬間ぶんの光だけで、ためて積み上げるという操作が入らない点がカメラとの分かれ目になります。環境省の星空観察(デジタルカメラによる夜空の明るさ調査)は条件をそろえて撮り比べる方法で夜空の明るさを測っており、場所ごとに背景が大きく違うことを数字で示しています。
何なら本当か
空の暗い場所へ出れば、帯として見えること自体は本当です。目に届くのは色ではなく明るさの差で、濃さは方向によって違い、暗黒帯は形の切れ目として分かる程度にとどまります。黄道光と同じ淡い面の光なので、月が出ていれば条件のそろった場所でも沈みます。光害の側から説明する話は見える条件の図鑑が扱い、ここは写真と目の差だけの話です。