北極星はいちばん明るい星

商業と俗説

北極星は、いちばん明るい星ではありません。こぐま座のα星は2等星で、全天では明るいほうからおよそ50番目前後にとどまります。

言われていること

北極星という呼び名は特別な星の響きを持ち、空でいちばん明るい星を探せば見つかるという手順が語られます。方角を知る星として教わる場面が多く、星座早見盤でも北の中心に置かれるぶん、目立つ星であるはずだという前提が一緒に付いてきます。実際に明るい星から順に当たっていくと、北の空で迷って見つけられないという結果になりがちです。

目には実際どう見えるか

日本天文学会「天文学辞典」は北極星をこぐま座のα星とし、2等星で天の北極から約0.75度の位置にあると説明しています。理科年表の恒星表で明るい順に並べると全天でおよそ50番目前後で、明るさを手がかりにすると、はるかに明るいベガやカペラを取り違えます。北の空に見える星の中では明るいほうですが、飛び抜けてはいません。

どこから広まったか

北極星が特別なのは位置であって明るさではありません。ところが方角の目印という役割が「いちばん大事な星」として伝わるうち、大事さがそのまま明るさに読み替えられました。こぐま座の中では最も明るい星でもあるため、その印象を裏づける形になっています。物語や歌の中で導きの星として繰り返し描かれてきた積み重ねも、明るい星という思い込みを支えています。

何なら本当か

一晩じゅうほとんど位置を変えないことは本当です。天の北極のすぐそばにあるため周りの星が回っても北の同じ高さに居続け、その高度は見ている場所の緯度とほぼ等しくなります。2等なら街の空にも届くので、明るさではなく道順で探します。おおぐま座の北斗七星の先を五倍ほど伸ばすか、カシオペヤ座のWから折り返すのが確かなたどり方です。