見える条件図鑑
夜空の明るさ(空の明るさ)
測るのは星ではなく、星と星のあいだの空です。一辺一秒角の四角に何等の星を溶かした明るさかという形で表し、数字が大きいほど暗い空を指します。空そのものが持つ明るさを、等級毎平方秒角という面の単位で表した数字です。一辺が一秒角の四角い窓を切り取り、そこに何等の星を塗り広げた明るさかと読みます。…
光害(空の明るさ)
夜空を明るくしている側の名前が、光害です。環境省は「ひかりがい」と読ませ、日本天文学会の天文学辞典は「こうがい」の読みも載せています。人工の光が本来の夜の環境を損なっている状態を指す言葉で、夜空の明るさが結果の数字なら、こちらは原因の側にあたります。環境省の光害対策ガイドラインは、照らしたい場所の外へ出ていく漏れ光…
薄明(空の明るさ)
日が沈んだ時刻は、夜の始まりではありません。太陽が地平線の下十八度まで下がるまで空には光が残り、そこまでの時間を薄明と呼びます。太陽が沈んだあとも空が明るい時間で、大気の上層が地平線の下の太陽に照らされ、その光が散っている状態です。国立天文台の暦計算室は太陽の伏角で三つに区切っており、伏角六度までが常用薄明…
月明かり(空の明るさ)
夜空をいちばん明るくするのは、街ではなく月です。満月の前後は空全体が底上げされ、淡いものから順に見えなくなります。月が空にいる夜の背景の明るさを、自然にある最も強い夜の光源として扱う項目です。満月の見かけの等級はおよそマイナス12.7等で、問題になるのは月の姿ではなくその光が大気に散らされて空全体を白くすることです。…
大気減光(空の明るさ)
低い空の星が暗いのは、大気を長く通るからです。同じ星でも南中したときと地平線の近くでは、目に届く光の量が変わります。大気を通るあいだに星の光が減る量で、日本天文学会の天文学辞典は大気の分子による吸収と、微粒子による散乱の和と定めています。天頂を1としたときに光が通る大気の厚みの比をエアマスと呼び…
肉眼の限界等級(空の明るさ)
その空で見分けられる、いちばん暗い星の等級です。天文学辞典の正式な語は「限界等級」で、観測の条件を指定してはじめて意味を持ちます。ある条件のもとで見分けられる最も暗い天体の等級で、日本天文学会の天文学辞典は観測の条件を指定して使う量と説明しています。俗に「極限等級」や NELM とも呼ばれますが…
暗順応(目のはたらき)
暗さに目が慣れていく、途中の時間の話です。慣れ切った状態を指す暗所視とは違い、こちらはそこへ至るまでの二十分から三十分を指します。明るい場所から暗い場所へ移ったとき、目の感度が上がっていく過程です。JIS Z 8113 は明るさに応じて視覚系が調節されることを眼の順応と定めており、暗い側へ向かうのがこれにあたります。…
暗所視(目のはたらき)
暗さに慣れ切った目が使う、色の無い見え方です。慣れていく途中を指す暗順応とは別で、こちらは行き着いた先の状態そのものを指します。桿体だけが働いている状態の見え方で、JIS Z 8113 は明所視・薄明視・暗所視を輝度の範囲で分けています。桿体は一種類しかないため、色の違いを区別できません。過程の側である暗順応とは別で…
そらし目(目のはたらき)
淡い星雲は、正面から見つめるほど消えます。中心窩には桿体がほとんど無く、光を拾う細胞は視野の少し外側に多いためで、視線をずらしたまま注意だけを対象に置くと浮かび上がります。視線の中心から何度ずらすか、という角度の技法です。網膜のうち暗さに強い桿体は中心窩にほとんど無く…
瞳孔径(目のはたらき)
暗い場所で開いたひとみの直径が、目の口径です。ここが何ミリまで開くかで双眼鏡から出る光の束をどこまで受け止められるかが決まり、上限は年齢とともに下がります。暗い場所でひとみ(瞳孔)がどこまで開くかを、ミリメートルで表した直径です。虹彩が絞りとして働くため、この直径がそのまま目という光学系の口径になります。…
肉眼の分解能(目のはたらき)
二つの星が離れて見える限界は、およそ1分角です。視力1.0が視角1分の切れ目を見分ける力と決められているためで、これより近い対は一つの点にしか見えません。並んだ二つの光点を、別々のものとして見分けられる最小の角度です。眼科では視力の逆数が視角の分と決められていて、視力1.0で1分角…
見かけの等級(見え方を決める数字)
数字が小さいほど明るく、マイナスまで続きます。1等級の差が約2.5倍、5等級で100倍と決められた対数の目盛りで、地球から見たときの明るさだけを表します。地球から見た天体の明るさを、数字の向きが逆になる目盛りで表したものです。日本天文学会 天文学辞典は、1等星と6等星の光の量の比を100倍と定め…
表面輝度(見え方を決める数字)
広がった相手は、等級の数字ほど明るく見えません。面積で割った明るさが表面輝度で、同じ等級でも大きく広がっているものほど、一点あたりは薄くなります。星雲や銀河のように広がった天体の明るさを、単位立体角あたりで表した量です。日本天文学会 天文学辞典は表面輝度を面輝度とも呼び、1平方秒角あたりの等級で書く流儀を載せています。…
視直径(見え方を決める数字)
空での大きさは、長さではなく角度で表します。距離が分からなくても測れる量なので、月も惑星も星団も、同じ物差しの上に並べて比べられます。天体の見かけの大きさを、天球上の角度で表した量です。日本天文学会 天文学辞典は視直径をこの意味で載せていて、1度は60分、1分は60秒に分けます。実際の直径が同じでも…
実視界(見え方を決める数字)
双眼鏡がひと目で映す、空の広さの角度です。倍率が上がるほど狭くなり、探しやすさと、視野に収まる相手の大きさが、この一つの数字で決まります。双眼鏡を覗いたとき、実際の空をどれだけの角度ぶん見ているかを表す数字です。用語の定義は JIS B 7157 にあり、性能としての表示のしかたは JIS B 7121 が定めていて…
射出ひとみ径(見え方を決める数字)
双眼鏡から目へ渡る、光の束の直径です。対物レンズの有効径を倍率で割った値で、これが瞳孔より太いと、はみ出した光は目に入りません。接眼レンズから出てくる光の束の太さを、ミリメートルで表した数字です。JIS B 7121 の用語は射出ひとみ径、売り場ではひとみ径、日本天文学会 天文学辞典では射出瞳と呼ばれます。…