暗順応

目のはたらき

暗さに目が慣れていく、途中の時間の話です。慣れ切った状態を指す暗所視とは違い、こちらはそこへ至るまでの二十分から三十分を指します。

何を表す数字か

明るい場所から暗い場所へ移ったとき、目の感度が上がっていく過程です。JIS Z 8113 は明るさに応じて視覚系が調節されることを眼の順応と定めており、暗い側へ向かうのがこれにあたります。回復は二段になっていて、先に色を見る錐体が戻り、遅れて暗さに強い桿体が伸びます。慣れ切った状態そのものを指す暗所視とは、指しているものが違います。

実際の値の目安

錐体の回復は五分から十分で頭打ちになり、そこから桿体が伸びて二十分から三十分で使える感度に届きます。折れ曲がる時刻は、直前にどれだけ明るい場所にいたかで前後します。最終的な感度は明るい場所の数万倍から数十万倍に達し、瞳孔径が開くぶんはその一部にすぎません。途中で白い光を見ると、桿体の側は振り出し近くまで戻ります。

これが動くと何が変わるか

同じ空を同じ目で見ていても、待つだけで星が増えます。三十分置いて数え直すと肉眼の限界等級が一等ほど深くなり、アンドロメダ銀河のような淡い相手が浮かび上がります。画面を数秒のぞくだけで、その分は失われます。車の前照灯や自動販売機の前を通るのも同じで、見たい方向に背を向けて光をよける動きが要ります。

自分で確かめる方法

外へ出た直後と三十分後に、同じ星域で見える星を数えて突き合わせます。増え方が止まったところが、その晩の慣れの上限です。途中で明かりが要るときは赤色ライトに持ち替え、白い光を避けます。片目をつぶって明かりを見れば、つぶった側の慣れは残ります。寒さと疲れでも感度は落ちるので、防寒着を着てから待つほうが数えやすくなります。