大気減光
空の明るさ
低い空の星が暗いのは、大気を長く通るからです。同じ星でも南中したときと地平線の近くでは、目に届く光の量が変わります。
何を表す数字か
大気を通るあいだに星の光が減る量で、日本天文学会の天文学辞典は大気の分子による吸収と、微粒子による散乱の和と定めています。天頂を1としたときに光が通る大気の厚みの比をエアマスと呼び、減る量はこれにほぼ比例します。表に載る見かけの等級は大気の外での値ですから、低い空ではそのまま当てになりません。同じ大気のせいでも、位置がずれるのは大気差、像がゆらぐのはシーイングです。
実際の値の目安
エアマスは高度30度で約2、20度で約2.9、10度では約5.6まで増えます。可視光で失われる量は空気の澄み具合で動き、良い観測地の目安が1エアマスあたり0.2等前後、湿気や塵の多い低地ではその倍にもなります。高度30度で0.2等から0.5等、10度なら1等を超える見当で、地平線ぎわでは数等ぶんが削られます。
これが動くと何が変わるか
低い空にあるものは、等級の表どおりには見えません。淡い相手ほど早く沈み、秋の宵にアンドロメダ銀河を低いうちに探して空振りするのは、たいていこれが効いています。短い波長ほど強く散らされるので、地平線に近い星は赤みを帯び、本来の色から外れて見えます(星は写真のように色とりどりに見える)。10度から30度まで昇るのを待つだけで、失う量は半分以下になります。
自分で確かめる方法
東から昇ってきた星を、南中するまで一晩追って見比べます。冬ならオリオン座の三つ星が分かりやすく、出たばかりの姿と高く上がった姿で明るさも色も変わります。近くにある同じくらいの明るさの星を物差しに使うと、目の慣れの差に引きずられません。霞や薄雲の晩は差が大きく出るので、同じ晩の同じ空で比べることが条件です。