薄明
空の明るさ
日が沈んだ時刻は、夜の始まりではありません。太陽が地平線の下十八度まで下がるまで空には光が残り、そこまでの時間を薄明と呼びます。
何を表す数字か
太陽が沈んだあとも空が明るい時間で、大気の上層が地平線の下の太陽に照らされ、その光が散っている状態です。国立天文台の暦計算室は太陽の伏角で三つに区切っており、伏角六度までが常用薄明、十二度までが航海薄明、十八度までが天文薄明です。天文薄明が明けてからが、夜空の明るさの値が底に落ち着く夜にあたります。
実際の値の目安
日の入りから天文薄明の終わりまでの長さは、緯度と季節で動きます。東京付近では春分と秋分のころでおよそ一時間半、夏至の前後では一時間四十五分ほどに伸びます。緯度が高いほど長く、北欧の夏には太陽が十八度まで下がらず薄明が明けません。六月から七月の宵は、二十時を回っても西の空が明るいため、待たずに数えると肉眼の限界等級を浅く見積もります。
これが動くと何が変わるか
同じ場所でも、薄明の前と後では見える星の数が桁で変わります。常用薄明のうちは一等星と金星くらいしか出ておらず、航海薄明で星座の形がつながり、天文薄明が明けてようやく天の川や淡い星団に手が届きます。早い時刻に出て今夜は駄目だと切り上げるのは、夜がまだ始まっていないだけということが起こります。暗順応の進みも、この待ち時間と重なります。
自分で確かめる方法
暦計算室の「こよみの計算」に土地と日付を入れると、日の入りと天文薄明の終わりの両方の時刻が出ます。その二つの時刻に同じ方角を向き、決めた範囲の星を数えて突き合わせます。西の低い空が最後まで明るく残るので、比べるなら東か天頂を選びます。月明かりが残っていると差が読めなくなるため、月の沈んでいる時間帯にそろえます。