肉眼の分解能

目のはたらき

二つの星が離れて見える限界は、およそ1分角です。視力1.0が視角1分の切れ目を見分ける力と決められているためで、これより近い対は一つの点にしか見えません。

何を表す数字か

並んだ二つの光点を、別々のものとして見分けられる最小の角度です。眼科では視力の逆数が視角の分と決められていて、視力1.0で1分角、0.5なら2分角の切れ目を判別する力を指します。1分角は1度の六十分の一で、視直径がおよそ31分ある月の三十分の一にあたります。淡い星ではこの限界まで届かず、暗い相手ほど分けるのに広い角度が要ります。

実際の値の目安

実際に分けられるのは1〜2分角あたりです。ひとみ7mmの回折だけで計算するとおよそ20秒角まで届くはずですが、網膜の錐体の間隔と目のレンズの収差が先に効き、実測は三倍から六倍に落ち着きます。北斗七星のミザールとアルコルは約11.8分離れていて余裕がありますが、こと座イプシロン星の約3.5分は、視力の良い人でようやく二つに割れる距離です。

これが動くと何が変わるか

同じ対でも、夜によって一つに見えたり二つに割れたりします。目の限界より先に効くのは空の側で、大気減光で暗いほうが沈むと、離れていても対に見えません。地平線に近い高度では像が揺れ、まばたきのたびに位置がずれます。高度が上がるほど像は落ち着き、同じ視力でも分けられる角度は縮みます。街明かりの下では暗いほうが背景へ溶け、数そのものが減ります。

自分で確かめる方法

ミザールとアルコルを北斗七星の柄の曲がり角で探し、二つに割れるかどうかを見ます。息を止めて見つめ続けるより、まばたきをはさんで何度も見直すほうが判定は安定します。割れたなら1分角台の分離ができている目安です。おうし座シータ星の約5.6分の対や月の海の境目でも同じ試し方ができます。眼鏡の度が合っていないと、結果は視力の側で決まります。