肉眼の限界等級

空の明るさ

その空で見分けられる、いちばん暗い星の等級です。天文学辞典の正式な語は「限界等級」で、観測の条件を指定してはじめて意味を持ちます。

何を表す数字か

ある条件のもとで見分けられる最も暗い天体の等級で、日本天文学会の天文学辞典は観測の条件を指定して使う量と説明しています。俗に「極限等級」や NELM とも呼ばれますが、この本では肉眼という条件を明示したうえで使います。機械が測る夜空の明るさとは別もので、あちらは面の明るさ、こちらは見る人の目が点の光をどこまで拾えるかを示します。

実際の値の目安

同じ空でも、測る人と手順によって値が動きます。市街地の空で4等前後、郊外で5等台、よく晴れた暗い土地では6等から6等半あたりが目安で、視力と年齢、目の慣れ具合でさらに前後します。同じ人でも、外に出た直後と三十分後では一等ぶん違うことがあります(暗順応)。一等の差は、見える星の数がおよそ二倍から三倍という開きです。

これが動くと何が変わるか

この値が半等浅くなるだけで、数えられる星は目に見えて減ります。6等の空では天の川に濃淡の構造まで読めますが、5等では帯としてぼんやり、4等では見つけられません(天の川は写真のように空を横切る)。アンドロメダ銀河のような淡い相手は、5等を割るあたりから急に難しくなります。双眼鏡を持ち出しても、背景が明るければ届く深さは同じだけ浅くなります。

自分で確かめる方法

環境省の星空観察が採っている Globe at Night のやり方が使えます。決めた星座を選び、観察シートに並んだ何枚かの星図のうち、実際の空にいちばん近い一枚を選ぶだけで階級が出て、測る道具は要りません。目を暗さに慣らす前に見ないこと、月明かりと薄明を外すことが条件で、同じ星座を同じ高さで見ると回を重ねた比較になります。