暗所視

目のはたらき

暗さに慣れ切った目が使う、色の無い見え方です。慣れていく途中を指す暗順応とは別で、こちらは行き着いた先の状態そのものを指します。

何を表す数字か

桿体だけが働いている状態の見え方で、JIS Z 8113 は明所視・薄明視・暗所視を輝度の範囲で分けています。桿体は一種類しかないため、色の違いを区別できません。過程の側である暗順応とは別で、こちらは慣れ終えた先を指します。感度が高い代わりに肉眼の分解能は落ち、細かいものを見分ける力と色を、明るさと引き換えに手放しています。

実際の値の目安

JIS Z 8113 の区分では、およそ0.001カンデラ毎平方メートル以下が暗所視、数カンデラ毎平方メートル以上が明所視で、あいだが薄明視です。星空の下の背景はこの下端にあたります(夜空の明るさ)。感度の山も動き、明所視で555ナノメートル、暗所視では507ナノメートルと短い側へ寄ります。この移りかたをプルキンエ現象と呼びます。

これが動くと何が変わるか

星の色は、目には写真のようには出ません。長い波長の側から先に沈むため、赤い星ほど暗く感じられ、ミラのような赤い変光星は等級のわりに見つけにくくなります。明るい星と惑星は薄明視の範囲に残るので色が分かり、火星の赤みは肉眼でもたどれます。淡いものを探すなら視野の中心を外すと、桿体の多いところで受けられます(そらし目)。

自分で確かめる方法

暗い場所で、明るいところでは同じくらいに見える赤い紙と青い紙を並べて眺めます。慣れが進むほど青のほうが明るく、赤は黒ずんで見えます。空でも同じことが起き、赤い星と白い星を見比べれば、等級のわりに赤が沈むのが分かります(星は写真のように色とりどりに見える)。途中で画面を見ると明所視に戻るため、比べるあいだは光を入れません。