カイヅカイブキ
生垣と刈り込み
触れたときの扱い: 樹液・毛・汁に注意(触れたら洗う) / 見ごろ: 一年中
枝が渦を巻いて立ち上がる、うろこ葉の木です。強く刈り込むと一部の枝だけが針のような葉に戻り、その枝は触れると刺さります。学校や工場の外周でよく見ます。
ひと目の手がかり
炎がねじれるように立ち上がる枝が目印です。葉はうろこ状の鱗片葉が枝に密着し、枝そのものが緑の紐のように見えます。イブキの園芸品種で、国総研「わが国の街路樹Ⅸ」では中低木41位24万本、高木でも29位5万1879本。潮風と大気の汚れによく耐えるため、学校や工場の外周に列で植えられてきました。一部の枝だけ葉の形が違う株を見つけたら、それが先祖返りです。
葉と樹皮
普段の葉は長さ1〜2ミリの鱗片葉で、枝に張り付いて重なります。ところが強い刈り込みや樹勢の乱れをきっかけに、一部の枝が針状の葉に戻ります。これが先祖返りで、針状葉は長さ5〜10ミリ、三枚ずつ輪生し、先が鋭く尖って刺さります。同じ株に鱗片葉と針状葉が混ざるのはこのためです。樹皮は赤褐色で、縦に細長く裂けて薄くはがれます。
季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)
常緑で、一年中同じ姿を見せます。3月から4月には雄株が花粉を出し、風に乗って飛びます。同じころ雨のあとの枝に橙色のゼリー状の塊が現れることがあり、これはナシ赤星病の菌です。ビャクシン類はこの病気の中間宿主にあたるため、ナシの産地では自治体が植栽を控えるよう求めている地域があります。雌株には径6〜8ミリの球果が付き、白い粉をかぶった青黒色に熟します。
触れたらどうなるか
注意が要るのは針状に戻った葉と枝葉を折ったときに出る汁です。先祖返りの枝は指や腕に刺さり、刺し傷が残ります。ヒノキ科の葉や枝の汁は皮膚を刺激することが知られ、触れたら洗います。春には花粉も飛びます。汁が付いたあとの手当ては刺激性接触皮膚炎に、生垣を調べるときの守りはニトリル手袋にまとめました。
まちがえやすい木
鱗片葉の生垣は似た姿が多く、枝の出方で分けます。カイヅカイブキは枝が渦を巻いて立ち上がり、遠目にも波打って見えます。コノテガシワやニオイヒバは枝が平面的に広がり、葉の裏に白い模様が出る種もあります。同じ常緑でもイヌツゲは平たい広葉なので、鱗片葉かどうかで一目で分かれます。先祖返りの針状葉だけを見てクロマツと迷うこともありますが、マツの葉は二本ずつ束になります。