山野草・植物観察

集める・巡る

通勤路の雑草に、ぜんぶ名前があると気づく

どんな趣味?

歩く速度が落ちる趣味です。道端でしゃがみ、葉の付き方や毛の有無、花びらの枚数をルーペで確かめ、図鑑の検索表をたどって名前にたどり着く。似た草の違いは、花よりも葉と茎に出ます。名前が分かると、同じ道でも見えるものの数が何倍にもなり、通勤路がそのまま観察地に変わります。

始めるのに要るもの

買うのは地域を絞った図鑑を一冊で2,000〜3,000円程度、それと千円台のルーペがあれば足ります。全国版より、自分の地方や都市部の植物を集めた薄いもののほうが早く名前に届きます。写真で調べるアプリは無料で使えますが誤った同定も多く、最後は図鑑で確かめる形になります。

最初の一歩

今週末は、いつも歩く道を三十分かけて、足元だけを見ながら歩いてみてください。名前を知らない草を三つ選び、花と葉と茎の付け根を写真に撮って帰ります。図鑑の索引ではなく葉の形から引く検索表を使うと、二つ目からは早くなります。整えられた植栽より、舗装の隙間や川沿いの土手のほうが種類は豊富です。

続けるとどうなるか

一年続けると、花の無い季節でも葉だけで見当がつくようになり、季節の先読みができます。春のあの週にあの斜面へ行けば何が咲いているか、という予定の立て方に変わります。そこから山地の植物へ足を延ばして登山と重なるか、写真で記録を積む方向へ進みます。自分で育てたくなったら盆栽や家庭菜園が隣にあります。

向き不向き・注意

野草の採取は場所によって禁じられています。国立公園や自然保護区、都市公園、私有地や社寺の敷地では制限があり、種によっては法令で保護されていますので、採る前に管理者と所管の最新情報を確認してください。基本は写真で記録して持ち帰らないことです。食べられる草を覚えたくなる人が多いのですが、有毒植物と山菜の取り違えは重い中毒につながります。かぶれる草やマダニもいますので、素手で触らない習慣が要ります。

解説動画: 道端の雑草と呼ばれる草花を名前の由来ごとに見る/kaori bluemoon

概要: 雑草という草はない、という言葉から入り、散歩道で見かける小さな花を一種ずつ映しながら、名前の由来や特徴、花言葉を紹介していく。辞書では栽培していないのに生えてくるいろいろな草とされ、雑草と呼ぶか草花と呼ぶかは見る人の主観によるとも言われる、と前置きしている。取り上げるのはどれも道端の身近な草。

名前の由来: イヌガラシはカラシナに似ているが食用にならないことから、ウシハコベはハコベより大きいことからその名が付いた。キュウリグサは葉をこするとキュウリの香りがするため、ノミノツヅリはノミが着るぼろ布ほどの小さな葉から、コメツブツメクサは米粒のような小ささから名付けられている。オオイヌノフグリには小さな青い瞳がのぞくように見えることから星の瞳という別名があり、ハルジオンは荒れた土地でも育つので貧乏草とも呼ばれる。

見分け方: ハコベの仲間は日本に18種あり、身近なのはハコベ、ウシハコベ、ミドリハコベの三つ。ハコベは花柱が3個、ウシハコベは5個という違いで見分けられるとしている。ワスレナグサに似た花も二つ挙げ、エゾムラサキは地面に張り付かず茎が立ち上がる点、キュウリグサは花びら1枚が1mmほどという小ささが手掛かり。カタバミの葉はハート形が3枚でクローバーと間違えられるが、全く別の植物だという。

帰化植物: オオカワヂシャはヨーロッパからアジア北部が原産で、湿地や川岸に生える。イモカタバミは観賞用として持ち込まれて以来、道端でよく見られるようになった。ツルマンネングサは朝鮮半島や中国北東部が原産で、古くから帰化していたと考えられている。トキワツユクサとも呼ばれる草は繁殖力が強く、生態系被害防止外来種の指定を受けている。海外では逆に除草剤の影響で数を減らし、絶滅危惧種になっている草もあると触れている。

暮らしとの関わり: ヘビイチゴの実はスポンジのようで美味しくないが、ホワイトリカーに漬けると痒み止めになるという。ユキノシタは薬のなかった時代の民間薬として重宝され、食用にもされたため井戸周りにある身近な植物だった。今もハーブティーや天ぷらで食べられている。ヒメフウロは薬や化粧品にも使われ、シロイヌナズナは2000年に植物として初めて全ゲノムが解読され、宇宙ステーションでの生育実験にも使われた。