水彩画
表現する
水が勝手に作る滲みは、狙って作れない
どんな趣味?
紙を湿らせ、絵の具を落とし、水が広がるのを見ています。筆を置いた後も色は動き続け、乾くまで完成しません。濃く塗るのではなく、白い紙を残すことで明るさを作るのが水彩の考え方で、他の画材と逆です。二十分で一枚が乾き、失敗しても紙を替えればいいという気軽さがそのまま続けやすさになっています。
始めるのに要るもの
固形絵の具の12色セットが2千円前後、筆は丸筆一本500円程度、あとは水彩紙です。節約してはいけないのは紙のほうで、コピー用紙だと波打って滲みが出ず、水彩の面白いところが体験できません。ブロックタイプの水彩紙は千円前後から手に入ります。一式そろえた最初の出費がいちばん大きく、あとは減った色を買い足すだけで続きます。
最初の一歩
今週末、家の窓から見える景色か、机の上の果物を一つ、はがきサイズに描いてみてください。鉛筆で軽く形を取り、明るい所を塗り残すつもりで、薄い色から重ねます。画材は画材店や大きめの文房具店の画材コーナーにまとまっており、三十分の買い物で一式そろいます。週末2時間から始めるにちょうどよい規模です。
続けるとどうなるか
半年で、水の量と乾き具合の関係が読めるようになり、滲みをある程度は狙って出せます。一年経つと描く前に、どこを塗り残すかを決めてから筆を持つようになります。旅先にスケッチブックを持ち出す人が多く、写真とは違う記録が残ります。公民館やカルチャー教室のグループ展に出す人もいて、イラストと行き来する人もいます。
向き不向き・注意
水を使うので机が濡れ、道具を広げて片づける場所が要ります。一度乾いた失敗は基本的に消せないため、塗り直して直していく進め方はできません。細かく描き込みたい人には向かず、思い通りにならないことを楽しめるかで分かれます。道具そのものは安い一方、紙と絵の具は消耗品で、週に一枚のペースでも月に千円前後は出ていきます。
解説動画: トマト一個で覚える透明水彩の塗り方の基本/Watercolor by Shibasaki
概要: 真っ赤なトマトを題材に、鉛筆の下描きから完成までを一緒に描き進める入門講座。シンプルなモチーフで水彩ならではの効果とそのコツを体験させる狙いで、これから始めたい人にも、続けてきたけれど基本や画材の使い方に自信がない人にも向けている。途中で分からなくなったら繰り返し見てついてきてほしいと言い添え、手を止めながらゆっくり進んでいく。
手順: 光が左上から当たっている前提で明るさの順番を確かめ、力を抜いた丸とヘタを鉛筆で取る。水彩は乾くと明るくなるので絵の具は濃いめに溶く。光っている部分は塗り残し、太い筆でのびのびと赤を置いていく。隣に黄色や緑を置いて滲ませ、乾きかけたらもう一度赤を重ねて色を強くする。
コツ: 日陰側は同じ赤を濃く溶いて重ね、青を少し加えるとさらに暗くできると説明する。洗った筆で絵の具を優しく拭き取ると反射の明るさが出て丸みが増す。透明水彩は基本的に白を使わず紙の白で明るさを表すので、この拭き取りと塗り残しが要になると話している。
仕上げ: 床に落ちた影は明るい青で大きく塗り、その青をトマトの日陰にも少し足すと影と実がなじんで置かれている感じが出ると話す。ヘタは緑にトマトの赤を混ぜた色を筆先で放射状に入れ、青を差して曲がりを表す。最後に白く残した部分へ赤を少し溶かし込み、光り方を本物らしく整えている。
道具: 使っているのは人差し指ほどの太さの丸筆だが、小指より細い筆でも十分だと言い添えている。パレットには赤が三色あるものの、一色しか持っていなくても描けると繰り返す。色同士が水の力で勝手に混ざるのは失敗ではなく水彩の良いところなので、気にせず大きく塗るよう勧めている。