演劇・朗読
表現する
他人の言葉を借りると、自分の体が変わる
どんな趣味?
台本の言葉を、自分の声と体に通します。読むだけでは動かず、立って、相手の目を見て、間を置いた瞬間に台詞が生きます。稽古の大半は、同じ場面を何度も繰り返して、間の取り方や視線の高さを詰める作業です。うまく演じるというより、普段の自分なら絶対に言わない言葉を口に出せることが、この趣味の解放感になっています。
始めるのに要るもの
初期費用はほとんどかかりません。社会人向けの演劇や朗読のワークショップは一回2千〜5千円、市民劇団の月会費は月2千〜5千円程度が目安です。要るのは動きやすい服と、床に座れる靴下だけです。公演に出る段階になると衣装や小道具の実費に加え、数千円から数万円の参加費を分担する団体もあります。
最初の一歩
今週末、自治体の文化施設や公民館の案内で、朗読または演劇の体験ワークショップを探して申し込んでください。多くは一回だけの参加ができます。行けば、初対面の人と声を出す時間が二時間ほど続きます。まず家で試すなら、好きな小説の一段落を、立って声に出して読むだけでも違いが分かります。仲間の見つけ方としても入りやすい入口です。
続けるとどうなるか
半年で声が通るようになり、人前で話す仕事にも効いてきます。一年続けると台本を読んだ時点で場面が見えるようになり、自分に向いた役柄の傾向も分かります。年に一、二回の公演へ数か月かけて仕上げる流れが定着し、本番後の空白まで含めて生活の一部になります。歌・ボーカルや一人朗読の公演へ広げる人もいます。
向き不向き・注意
時間の拘束が趣味の中でも群を抜いています。公演前は週末が数か月まるごと稽古で埋まり、家族の理解なしには続きません。少人数で作るため一人抜けると全体が止まり、体調が悪くても休みにくい空気になりがちです。団体によってはチケットの割り当てがあり、売れ残りを自己負担することになれば数万円の持ち出しになる例も珍しくありません。台詞を覚える負荷も大きく、人間関係の濃さが合わない人には向きません。
解説動画: 喉で鳴らさない、声を体に落とす台詞の練習/ミュージカルカフェ
概要: 「今日はとてもいい天気だわ」という一つの台詞を例に、言い方だけを何度も変えて練習しても芝居にはならないという指摘から入る動画。リアルな芝居にするために何を変えるべきかを一点に絞った短い解説で、台詞の抑揚そのものではなく、声の出し方と体の使い方の話に終始している。
コツ: 喉を鳴らすのではなく、声を体に落とすつもりで台詞を言うことを勧めている。そうすると自分が何を喋っているのかを理解しやすくなり、言葉一つ一つをどう感じているかを考えられるようになる。同じ一言でも感じ方を変えれば響きが変わってくると、繰り返し言い直して聞かせている。
やりがちなミス: 声が感情より先に出てしまうと、台詞を音として並べているだけになると指摘する。本来は嬉しいのか悲しいのかで体が先に動き、そこから言葉が出るという順番だという。声を落とすと音量が小さくなるのではという疑問には、喉ではなく体の筋力のエネルギーで芝居をするのだと答えている。