チョコレート
味わう
産地の名前が、そのまま味の違いになる
どんな趣味?
板を割って、口の中で溶かして待つ。噛まずに体温でゆっくり溶かすと、同じカカオなのに、果実のような酸味が出るものと、煙っぽい苦みが残るものがあります。産地と作り手が書かれた板を数枚並べて食べ比べれば、味の差ははっきりします。一片で5分、静かに座っている時間そのものが趣味になります。
始めるのに要るもの
道具は何も要りません。産地の書かれた板チョコは一枚800円から1500円、三枚食べ比べても3000円台で済みます。スーパーの量産品でも一枚200円前後でカカオ分の違いは比べられます。強いて言えば、食べる前に室温に戻し、一片ずつ紙に載せて並べることくらいが準備です。
最初の一歩
今週末、百貨店の菓子売り場か、カカオの産地を明記している専門店で、産地の違う板を三枚選んでください。カカオ分を70パーセント前後でそろえると、産地の差だけが浮き上がります。家では一片ずつ、噛まずに溶かして味の出方を追います。三枚目まで来ると、自分がどの方向を好むのかがはっきりします。
続けるとどうなるか
産地と作り手の組み合わせが分かってくると、板の裏の表示を読むのが楽しくなります。贈り物を選ぶのが得意になるという実利もあります。そこからお菓子作りのように自分で溶かして固める方へ進む人、コーヒーと味の語彙を共有して両方を追う人が出てきます。収穫年で味が変わることに気づくと、買う店と時期が決まってきます。
向き不向き・注意
食べる趣味なので、量と体重が直結します。産地入りの板は一枚1000円前後と決して安くなく、食べ比べを続けると月の食費が目に見えて増えます。夏場は室温で溶けて品質が落ちるため、保管に気を使います。冷蔵庫に入れると表面が白くなることもあります。カフェインとテオブロミンを含むので、量が多いと眠りに響く方もいます。
解説動画: 植物油脂の有無で変わる製菓用チョコの選び方/KAZUAKI EGUCHI / チョコレートのプロ:ショコラティエ Chocolate
概要: 菓子作りで失敗しないためのチョコレートの選び方を、ショコラティエが解説している。ビター・ミルク・ホワイトの原料の違いから始め、植物油脂が入ったものと入っていないものを実際に溶かし、固め、焼いて比較し、レシピを置き換えるときのルールと保存方法まで扱う内容。
原材料の見方: ビターは砂糖とカカオマス(カカオ固形分とカカオバター)だけで、ミルクはそこに粉乳が加わる。ホワイトはカカオ固形分がなく、カカオバターと粉乳と砂糖でできているから白い。ここにカカオバターの代わりとして植物油脂が入る商品があるので、買うときは原材料表示を見るよう勧めている。原材料は多い順に書く決まりなので、並び順から中身を推測できるとしている。
植物油脂で何が変わるか: 45度で溶かすと植物油脂入りのほうが色が薄く流動性が高い。固めると柔らかく仕上がり、入っていないものは硬く苦みも感じる。生クリームと1対1で合わせると差がはっきり出て、植物油脂入りは固まる力が弱く、生チョコやトリュフのレシピをそのまま置き換えると固まらない。焼き菓子では植物油脂入りは側面が縮むが食感は軽くさっぱりし、入っていないほうは型通りに焼き上がって濃厚で香りが強い。どちらが悪いのではなく、油脂に合ったレシピにする必要があるという説明になっている。
レシピを置き換えるとき: ビターをそのままミルクに変えると粉乳と砂糖が増えるぶん柔らかく甘くなり、ホワイトに変えるとさらに甘く柔らかくなる。ミルクをビターに寄せたいならココアなどで苦い部分を足し、ビターをミルクに寄せたいなら砂糖を増やす必要がある。ホワイトで作るレシピをビターやミルクに置き換えるのは物が違いすぎるので勧めない。一方でカカオ分が65%か67%か70%か程度の差は気にしなくてよいとしている。
保存: 業務用の袋の内側がアルミになっているのは光を通さないためで、光で劣化してカサカサになり、チョコは匂いをよく吸うので保存の仕方が味を左右すると説明している。板チョコを袋から出してジップロックに入れて冷蔵するのはぎりぎりで、密閉できる容器に入れて空気を減らし、冷蔵庫に入れるのが一番よい。野菜室は湿気を出す機能があるので避け、温度変化の少ない奥に置くよう勧めている。