舌先の位置と、唇の形の違い。
l と r の出し分けは、片方ずつ伸ばして形を固める段、2つを切り替える段、語の中の位置を広げる段、聞き分けと言い直しの段の順に進めます。最初の2段は語を使わず、音だけで練習します。
/l/は、舌先を上の前歯のすぐ後ろの上あごに付けたまま、声を3秒出し続けます。舌先を上の前歯の下側に押し当てる形でもかまいません(Rachel's English・アメリカ英語)。/r/は、舌先をどこにも付けず、舌の前を後ろ上へ引いて太く短くし、唇の両端を寄せて前へ出します。あごはほとんど下げず、声を出したまま5〜10秒伸ばします(Rachel's English・アメリカ英語)。/ɜːr/を出せるなら、伸ばした /ɜːr/ から語頭の r へそのまま移ると、舌の形を作り直さずに済みます。
次に、声を伸ばしたまま l と r を交互に切り替えます。l で付けた舌先を離して奥へ引けば r、r から舌先を歯ぐきへ戻せば l です。変えるのは舌先が付くか離れるかの1点だけで、切り替えの途中に舌先で弾く音(日本語のラ行)が入っていないかを録って聞きます。切り替えが滑らかになったら、la / ra、lead / read のように母音を付けます。
語の中では、語頭(light / right)、子音のあと(play / pray、glass / grass、fly / fry)、母音のあいだ(collect / correct、belly / berry)、語末の順に広げます。子音のあとの r は、語頭の r より唇の丸めが緩くてかまいません(Rachel's English)。語末の l(feel・ball)は、舌先を下の前歯の裏に置いたまま舌の奥を喉のほうへ引く暗い l で、語頭の l とは分けて練習します(Rachel's English・アメリカ英語)。
聞き分けの練習は、何人もの話者の声で行います。いろいろな話者の対を聞き分ける訓練は日本語話者の l と r の発音まで良くし、聞いた語を選ぶ形でも、2つが同じか違うかを答える形でも同じように効きました(Shinohara と Iverson 2018)。ただし、聞き分けの力と結びついていたのは舌を奥へ引く動きまでで、唇や上あごでの狭めのような新しい動きの上達とは結びついていませんでした(Saito と van Poeteren 2018)。唇の形は、聞き分けとは別に鏡で見て作ります。
r に注意を向ける4時間の授業を受けた日本語話者のうち、言い損ねた r をその場で言い直して示された組だけが、自由に話す場面でも r が英語に近づきました(Saito と Lyster 2012)。独りで練習するときは、録った声をお手本と並べて聞き、崩れた語を言い直す時間を毎回入れます。できあがりの目安は、right・light・light・right のように順番を変えて録った4語が、聞き返してもその順番どおりに聞き取れることです。
出典
- 動画・英語 Rachel's English English: How to Pronounce L [l] Consonant
- 動画・英語 Rachel's English How to make the R [ɹ] Consonant
- 論文・英語 Shinohara Y, Iverson P(2018) High variability identification and discrimination training for Japanese speakers learning English /r/–/l/
- 論文・英語 Saito K, van Poeteren K(2018) The perception–production link revisited: The case of Japanese learners' English /ɹ/ performance
- 論文・英語 Saito K, Lyster R(2012) Effects of Form-Focused Instruction and Corrective Feedback on L2 Pronunciation Development of /ɹ/ by Japanese Learners of English