薪・焚き火図鑑
スギ(針葉樹)
軽くて割りやすい着火の主役。日本の人工林でいちばん多く植えられている針葉樹で、まっすぐ通った木目のおかげで手斧でも素直に割れます。中心の赤みがかった心材と外側の白っぽい辺材の色の差がはっきりしていること、同じ太さの広葉樹より半分近く軽いことが、薪売り場での見分けの手がかりになります。
ヒノキ(針葉樹)
香りがよく火付きも早い上等な薪。淡い黄白色でつやがあり、削るとさわやかで甘い独特の香りが立ちます。年輪が細かく詰まっていてスギより一回り硬く重いので、手に持ったときのずしりとした感じでも見分けられます。建築の端材が角材のかたちで薪として売られていることも多い木です。
アカマツ(針葉樹)
ヤニ豊富、雨の日の切り札。幹の上のほうの樹皮が赤褐色でうろこ状にはがれるのが名前の由来です。松脂をたっぷり含み、切り口がべたつくものほど当たりだと考えてよいでしょう。根元や枝の付け根に脂がしみ込んで飴色に変わった部分は肥松と呼ばれ、そのまま天然の着火剤になります。
カラマツ(針葉樹)
秋に葉を落とす高原の針葉樹。日本の針葉樹では珍しく秋に葉を落とす木で、高原や信州のキャンプ場周辺の林でよく見かけます。木肌は赤みを帯び、乾くと繊維がねじれてらせん状に割れ目が入るため、斧を入れてもまっすぐ割れないことがあります。
コナラ(広葉樹)
薪の王様と呼ばれる定番の木。どんぐりのなる木の代表格で、樹皮は縦に浅い裂け目が入った灰褐色をしています。手に取るとはっきり重く、切り口の道管が肉眼でも見えます。伐ってから一年以上乾かした薪が理想で、割りたてのものは水を多く含んでいてなかなか燃えてくれません。
クヌギ(広葉樹)
ずっしり重い長時間の主力。樹皮がコルクのように厚くごつごつと割れているのが目印で、夏はカブトムシが集まる木としても知られています。しいたけのほだ木に使われるほど材が詰まっており、同じ体積のスギの二倍近い重さがあるので、持った瞬間に違いが分かります。
ケヤキ(広葉樹)
硬くて割りにくい街の広葉樹。公園や街路樹でおなじみの木で、冬に見上げるとほうきを逆さにしたような枝ぶりがよく分かります。木目が美しく家具や器にも使われるほど硬く、繊維がねじれて育った株にあたると、薪割りで斧が跳ね返されて歯が立たないこともあります。
サクラ(広葉樹)
煙の香りが甘い燻製向きの薪。樹皮に横向きの筋のような皮目が並ぶのが見分け方で、街路樹や果樹園の剪定で出た枝が薪として流通します。材は程よく緻密で扱いやすく、割るとほのかに甘い香りが立ちます。ソメイヨシノでも山桜でも、薪としての扱いは大きく変わりません。
シラカバ(広葉樹)
白い樹皮が目印の寒冷地の木。白い樹皮が紙のように薄くはがれるのがいちばんの特徴で、北海道や標高の高いキャンプ場でよく見かけます。材は白っぽくて広葉樹のなかでは軽めのため、割りやすく乾きも早い部類に入り、薪割りに慣れていない人でも扱えます。
ブナ(広葉樹)
均一に燃える素直な広葉樹。灰白色でつるりとした樹皮に地衣類の斑模様が乗るのが目印で、東北や日本海側のブナ林がよく知られています。材は白っぽく重く詰まっていますが、割ったときに繊維がまっすぐ通るので、手斧でも比較的まっすぐ割れてくれます。
カシ(広葉樹)
国内最重量級で熾火が長い薪。常緑のどんぐりの木の総称で、葉が厚く冬も緑を保ちます。薪として流通する木のなかでも屈指の重さがあり、持ち上げた瞬間に他の広葉樹との違いが分かります。備長炭の原料になるウバメガシもこの仲間で、炭のように長く燃えるのが身上です。
リンゴ(広葉樹)
剪定枝が甘く香る果樹の薪。果樹園の剪定で出た枝や幹が、薪やスモークウッドとして流通します。直径が細く曲がった枝が多いので一本が短く、小さめの焚き火台でも持て余しません。材は緻密で、割ると果実を思わせる甘い香りがふわりと立ちます。
フェザースティック(焚き付け・着火材)
薪を削って作る自前の着火材。薪の表面を薄く削り、羽根のようなカールを一本の棒に何段も残したものです。買った着火剤がなくても、手元の薪だけで火口を用意できるのが最大の利点になります。スギのように木目がまっすぐで柔らかい針葉樹がいちばん削りやすく、最初の一本の練習に向いています。
杉の葉・松ぼっくり(焚き付け・着火材)
拾って使える天然の焚き付け。地面に落ちて茶色く枯れた杉の葉と、かさが大きく開いた松ぼっくりは、どちらも油分を含んだ優秀な天然の焚き付けです。かさが閉じている松ぼっくりはまだ湿っている合図なので、しっかり開いて軽くなったものを選んで拾い集めます。
白樺の樹皮(焚き付け・着火材)
濡れても燃える最強の火口。シラカバの幹からはがれた白い薄皮で、ろうのような油分を多く含んでいます。紙のように薄い層が何枚も重なっていて、指で裂けば細かい繊維状になります。生きている木からはぎ取ると木が傷むので、地面に落ちているものだけを拾ってください。
麻ひも(焚き付け・着火材)
ほぐせば火花で燃える万能ひも。園芸や梱包に使うジュートなど天然素材のよりひもで、ホームセンターで手軽に手に入ります。十センチほどに切ってよりをほどき、繊維を鳥の巣のようにふわふわに広げれば火口になります。見た目の似たビニールひもや化繊ロープは溶けて有毒な煙を出すので使えません。