リンゴ

広葉樹

リンゴは、剪定枝が甘く香る果樹の薪。

特徴

果樹園の剪定で出た枝や幹が、薪やスモークウッドとして流通します。直径が細く曲がった枝が多いので一本が短く、小さめの焚き火台でも持て余しません。長野市など9市町村の圏域には、果樹の剪定枝を薪ストーブなどの燃料にする事業があり、狙いはCO2の削減と農業残渣の活用です。対象は、処分に困る果樹農家と、薪ストーブの燃料を自分で調達できる人です。

燃え方

リンゴの煙の風味を測った研究があります。米国のチームが、ヒッコリー・チェリー・リンゴの煙で燻したチェダーチーズを訓練した評価者と分析機器で比べると、リンゴはろうのような青っぽい風味が特徴で、燻製らしさが最も強いのはヒッコリーでした。その風味には2-メチル-2-ブテナールと2-エチルフランが関わるとされます。

向いている使い方

燻製と直火のグリルが本領です。熾火の上に親指ほどの一片を置き、蓋やダッチオーブンで煙を閉じ込めると香りがよく回ります。塩漬けのヤギ肉をリンゴ・オーク・メスキートのチップで燻した比較では、3種とも酸化の指標(TBARS)が無燻製より低い一方、燻製香と総合評価はオークとメスキートが対照やリンゴの燻製より有意に高い結果でした。

出典

  1. 論文・英語 Rizzo PV, Del Toro-Gipson RS, Cadwallader DC, Drake MA(Journal of Dairy Science)(2022) Identification of aroma-active compounds in Cheddar cheese imparted by wood smoke
  2. 論文・英語 Park J, Jeong D, Jung Y, Oh S, Kim D, Jang A(Foods)(2026) Effects of Apple, Oak, and Mesquite Wood Chips on the Physicochemical Properties, Volatile Organic Compounds, and Sensory Characteristics of Brined Smoked Goat Meat
  3. 公的機関 長野市(2026) 果樹剪定枝・薪ストーブ活用推進事業について

解説動画: スモークウッド七種類を同時に燻して味を比べる/さばいどるチャンネル

概要: 同じメーカーから出ている七種類のスモークウッド、桜とりんごとくるみとヒッコリーとならとブレンドとウイスキーオークを、すべて同じ条件で同時に燻して味と香りと色の違いを確かめる企画である。りんごの香りがほかの樹種と並べたときにどんな位置づけになるのかがよく分かる内容で、最後に樹種ごとの印象をまとめて語っている。

段ボールで七つ同時に燻す: 燻製器は段ボールで自作している。段ボールの下側を外側に折り返し、切り込みを入れたところに半分に折った網を差し込むだけという簡単な作りで、これを七つ用意する。途中でどれが何の樹種か分からなくなるので、段ボールに名前を書いておく。食材は肉と魚と卵とチーズの基本四種で、火をつけて放置すると一時間ほどで煙がすべて消えた。

りんごの味わい: りんごはパッケージの説明どおり甘くてマイルド、というより優しい味だった。チーズに合わせたときにその甘さがはっきり出て、チーズケーキを思わせる方向に寄る。卵もふんわりとおいしく仕上がったという。食べ比べの順番では桜の次に口にしており、切り替わった瞬間に確かに違うと分かるほど印象が離れていた。全体を通して丸みがあって甘い側に位置づけられる樹種である。

ほかの樹種との違い: サクラは味が強めでやや酸味があり、市販の燻製チーズでなじんだいわゆる燻製の味になる。くるみは薄めで主張が少なく、ヒッコリーは香りが一番よいが味は強くない。ならはチーズが飛び抜けておいしく、ブレンドは一番色がつくうえに好みを選ばない。ウイスキーオークはりんごと同じ甘い系だが、より味が濃く感じられた。